1日1時間のランニングで寿命が7時間延びる…ほんの少しの運動でも膨大なメリットが! 最新の研究で明らかになった運動の驚くべき効果とは
1日1時間走ると寿命が7時間延びる
では実際に日本人は1日どれくらい歩いているのだろうか? 2017年にスタンフォード大学の研究者が、世界111か国約70万人の持っているスマートフォンに内蔵された加速度計のデータを解析することで、各国の人々が1日平均でどれくらい歩いているのか研究[*3]した(図2)。 その結果、日本人は1日約6010歩歩いていることが明らかになった。これは調査された国の中では香港、中国、ウクライナに次いで4番目に高い結果であった。 より正確な統計(国民健康・栄養調査)でも、平均的な日本人はすでに1日6278歩歩いていることが分かっているので、先の研究から導き出された目標値1日1万2000歩を達成するためには、プラスアルファで1日6000歩を歩けばよいという計算になる。 これは、時間で言うと1.05時間、距離で言うと4.2㎞になる。 これはなかなかハードルが高いという人であっても、1日1万2000歩くらいまでは歩けば歩くほど死亡率が下がると報告されているので、自分のできる範囲内で歩数を増やすことをおすすめする。 ランニングをしている人も多いと思うが、定期的にランニングをしている人は、ランニングをしていない人よりも寿命が約3年長いという研究結果[*4]がある。 この研究を行った研究者はニューヨーク・タイムズの取材に対して、「1時間ランニングをすると寿命が7時間延びる」とコメントしている。 もちろんもっと長時間ランニングをするほど無限に寿命が延びるわけではないものの、時間が足りなくて困っていると不平を漏らしている人たちにとっては、1時間のランニングで7時間寿命が延びるというのはリターンの大きい「投資」であると言っても良さそうである。
運動量ゼロの人がやるべきこと
最後に、アメリカのガイドラインで推奨されている運動(身体活動)の量を説明する。 アメリカのガイドライン[*5]では、健康を維持するためには、大人は週150~300分間の中強度の運動(個人差はあるが早歩きや階段の上り下りなど)、もしくは週75~150分間の高強度の有酸素運動(ジョギングなど)をすることが推奨されている。 そしてこれに加えて、週2回の(身体にある全ての主要な筋肉を使った)筋肉トレーニングをすることで、健康上追加のメリットがあるとされている。 この根拠となっているのが図3である。 この図の縦軸は死亡率、横軸は運動量を表している。もちろん運動量が多ければ多いほど死亡率が低いという関係が認められる。 ただしその中でも、日頃の運動量がゼロの人が少しだけ運動した場合に得られる健康上のメリットが一番大きい点に注目してほしい。 週150~300分間を超えると、追加で得られる健康上のメリットが小さくなるため、当該の範囲の適度な運動量が推奨されるようになったのだ。 1つ注意が必要なのは、食事を制限することなく運動だけで減量したいのであれば、週150分間の運動ではおそらく不十分であるということが分かってきているということである。 ただやみくもに運動しろと言われても難しいし、長く続けられない人も多いだろう。 しかし、これらの研究結果からも分かるように、運動は皆さんが病気になるのを確実に予防し、長生きさせてくれるものだ。 特に、普段運動をほとんどしていない人が少しだけ運動した場合に得られる健康上のメリットは大きい。いきなりガイドラインで推奨されているレベルの運動量を達成するのは難しいかもしれないが、まずは少しだけでいいので日々歩く量を増やしてみてほしい。 ストレス発散にもなるし、体調も良く感じるようになるはずだ。運動を続けていくための、よいきっかけになると思われる。 図/書籍 津川友介著『あなたを病気から守る10のルール』より 写真/shutterstock
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