万年2位返上 メジャー初優勝をつかんだザンダー・シャウフェレの“変化”
この4日間はショットの安定感も光った。ストロークゲインドはオフ・ザ・ティ(パー4、パー5のティショットのスコア貢献度)が5.227(3位)、アプローチ・ザ・グリーン(グリーンを狙うショットの貢献度)が7.811(2位)で、パーオン率も1位。現地ではシャウフェレの飛距離も話題となり、ジャスティン・トーマスもその変化に驚いていたという(今週は平均310.1ydでフィールド全体の15位)。 昨年からトレーニングをして体を強化し、さらにコーチにクリス・コモ氏をつけたことで、飛距離が伸びたのはもちろん、スイングが安定した。「スイングは大きく変えてないんだ。クリスが僕に落とし込んでくれたのは、ほんのちょっとオンプレーンにしたことと、肩を縦に動かすこと。悪くなると肩もフラットになりやすくて、レイドオフがきつくなるからね」。ここ数年は優勝争いの大事な場面で、ドライバーで球を曲げてスコアを落とすシーンも多かった。この日は最後まで球が荒れることはなく、優勝争いの緊張感がある中でもフェアウェイをキープしていた。「きょうもいくつか難しいティショットがあったけど、しっかりといい球を打つことができた。今週はそれがずっとできていた」とシャウフェレは振り返った。
いつもいいところにいるけど、なかなか勝てない。一時は“万年2位”の烙印を押されたこともある。「ただのノイズ、僕はそう考えるようにしていました。外野の声を気にせず自分の仕事をする。今週はそれを実行できたと思います」 これで世界ランキングは自己最高の2位に浮上。熱望しているパリ五輪出場権獲得へかなり前進したことになる(6月17日付の世界ランキングに基づく五輪ランキングで決まる)。「米国は強い選手が多いので、出場権を得るのも非常にタフ。でも今回の勝利で、安全圏に入ったと思う」。18番ホールのグリーン上で優勝者に贈られるワナメーカー・トロフィを掲げたシャウフェレは、その喜びをかみ締めていた。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)