子どもたちに感動と体験の環境教育を 里山で孫と歩む震災からの再建 能登の「ケロンの小さな村」
「大事な場所だと、たくさんの人から言われ驚きました。たくさんの思いがこもっていて、無くすわけにはいかないと思いました」 上乗さんと拓夢さんは、復興への誓いの木として、二人で「夢桜(ゆめざくら)」と名づけた桜を植樹しました。
ケロン村は、まだまだ再建の途中ですが、上乗さんは今年も田植えを行い、畑ではたくさんの野菜も育っています。拓夢さんに一から農業を教え、田んぼの拡張も予定しています。 いまだ、立ち入り禁止のエリアはあるものの、子どもたちの姿が、再び戻り始めています。新しい取り組みとして、地域の子どもたちとともに車体を塗装した、パンの移動販売車「ケロン号」もはじめました。復興をテーマにした新しい絵本の製作も計画しています。
「これからチャレンジするのは、拓夢たちの世代ですが、復興の道筋はつくろうと思っています。子どもたちの環境教育の場を維持するためにも、収益化できるモデルをつくりたい。今後の自立開発は、建設という意味ではなく、持続運営できるようにしていくことです。ここには、水や田畑という宝があり、それができる場所だと信じています。ケロン村は生きがい。まだまだがんばるよ。僕は、草むしりしながら、ここで人生を全うしたいですね」
ライター/近藤幸子