<掛布が語る>阪神が巨人とのCSファイナルを勝ち抜くための4つの条件
2.そして、先発は先取点を絶対に許さずに3点以内に抑えることが必勝条件になるだろう。 加えて、もうひとつ守らねばならないことは、今季の東京ドームでの被本塁打18本が示すように巨人の“飛び道具”を封印しなければならない。巨人は坂本、長野、阿部、村田、亀井、ロペス、アンダーソンと7人もホームランの怖さを秘めたバッターを揃えている。このうち誰がシリーズ男としてスポットライトを浴びても不思議ではない。 おそらく阪神ベンチはリード面で怖さの残る梅野でなく、鶴岡、藤井のベテランを使うだろうが、配球においてはインサイドのボールの使い方がカギを握るだろう。“飛び道具”を怖がるあまりに慎重にいきすぎて外一辺倒の配球傾向になってしまうと危険信号だ。勘違いしてもらっては困るが、決して「インサイド」イコール「攻めている」というものではない。しかし打者に勝負していく強い気持ちを持って、打者がアウトコースを広く感じるような配球を考えねばならないと思う。 3、一方、阪神打線のポイントは打点王を獲得した4番のゴメスだ。 打率・307、6本塁打、19打点と対巨人へ抜群の相性の良さを持っているゴメスは、徹底マークされるだろうが、ボールの見極めが、そのデータをシリーズに反映させることができるか、どうかの分かれ目になる。打ちたい、打ちたいと気持ちのはやるゴメスは、リーチとスイングスピードがあるから、少々ボール気味の外の変化球も強引にレフト前へ運ぶが、巨人は、そのゾーンをさらに慎重に攻めてくるだろう。後ろにマートン、そして終盤に来て復活した福留と好打者が並ぶのだから、「ホームランを打てるボールがくるまで待つ」という我慢強さが必要になってくる。ゴメスが6試合で2本塁打のノルマを達成したときに阪神に流れがやってくると思う。もしもゴメスのバットが湿ったと感じたならば、阪神ベンチは、たとえ、打点王であろうが、4番を外してクリーンアップを再編することも考えていいと思う。短期決戦での不調は致命傷となる。後手を踏んだら終わりだ。 4、また打順について一考をしてもいいと考える。ファーストステージでは、西岡の体調が戻ったことで、彼を1番に置き、2番に上本、大和を7番に移動するというシーズン中とは違う打順の改造を行った。6番の福留が警戒されているが、その後ろが大和では弱い。下位打線にアクセントをつける意味でも、大和を2番に戻して意外性も持っている上本を7番に配置するのも、ひとつの手かもしれない。まだ右投手が予想される試合では、伊藤隼太らを福留の次に置くことを考えてもいいと思う。 いずれにしろ、阪神が打ち勝つ野球は事前のゲームプランとしては考え辛い。勝ち抜いたファーストステージも、20イニングで1点しか取れず、まだチームが勢いに乗ったとは言えない。阪神が、巨人とのファイナルを勝ち抜くには、先発が3点以内に抑え、ゴメスを軸に先取点を取ることが、最低条件となるだろう。 (文責・掛布雅之/阪神DC、評論家/構成・本郷陽一)