「家のローン支払いに怯え…」芸能事務所から独立した山本高広の現在『クレヨンしんちゃん』がきっかけで追いかけた夢の先
5年目くらいからはようやく周りが見えるようになり、おもしろい人や上手い人がいたらすかさずまねをして、技術を盗もうと思えるようにまでなりました。最近では自分の声の演技で、周りの声優さんが、肩を上下に振るわせて声を出さずに笑ってくれているのを感じたときや、監督からOKをもらったときが、やっぱりうれしいですね。 声優の仕事で転機となったのは、2020年に韓国ドラマ『梨泰院クラス』のオ・ビョンホン刑事役の吹き替えを担当したときのことです。当時、「芝居がもっとうまくならないとダメだ」と言われ悩んでいたんです。何度も自分の声をスマホに録音し、感情をこめたお芝居ができるように練習に取り組みました。まだまだ未熟なところもありますが、仕上がりを見たときに「これが私の声なんだ」と、自信を持てた作品です。
自分の声が作品として残るのもやりがいのひとつで、クレジットを見て「あの声をやっていた山本高広って、ものまね芸人の?」なんて言うのを聞くと、「よしよし!」と思ったりもします。 ── 声優としての今後の目標はありますか? 山本さん:声優としての仕事の幅はもっと広げたいですね。将来、年をとってものまね芸人として舞台に立つのが難しくなっても、声の仕事は長く続けられると思っています。声優として大きくブレイクして、もっといろいろな作品に出演したいですね。誰でも聞いたことある国民的なキャラクターの声を担当するのもひとつの夢です。正義のヒーローや主人公ではなく、ちょっとクセのあるおもしろい役などできたらいいですね。
■妻に相談せず独立も「コロナで収入は大打撃」 ── 2023年に芸能事務所から独立され、個人事務所を立ち上げたそうですね。なにかきっかけがあるのでしょうか? 山本さん:声優のお仕事も含め、やりたいことが増えてきたのがいちばんの理由です。2001年から2021年の長きにわたってワタナベエンターテインメントさんにお世話になったのですが、事務所が専門としていない声優の仕事が増えてきたのもあり、声優事務所に所属し声優として実力をつけたかったので移籍しました。そして声優事務所で2年間所属しましたが、今度は声優とものまねタレントのマネージメントの両立が厳しいようで、「それならば、独立して自分でやったほうがよいのでは…」と思い、個人事務所を設立してひとりでやることにしました。