黒柳徹子「テレビ黎明期の生放送の経験が、ユニセフの活動にも活かされた。誰もが自由で、戦争のない世界を」
◆100歳は遠くない 今、世界のあちこちで戦争をしています。そういう現状を見ると、「テレビって世界を平和にする力があるって言ってたのに。話が違うんじゃないの」と言いたくもなります。でも私、希望は捨てていないんです。 最近はスマホなどで情報を得る人も多いけれど、テレビの大きな画面はやっぱり力があると思います。あの画面で戦争に巻き込まれた子どもたちの姿を見たら、みなさん、こんなことが起きてはいけないと強く感じるんじゃないでしょうか。 テレビと同じように私が信じているのが、活字の力、本の力です。自分が書いた本のことで恐縮ですが、『窓ぎわのトットちゃん』は20以上の言語に翻訳されて、累計2500万部も売れているそうです。 そのうちのなんと半分以上の1600万部が、中国で売れたんですって。中国では、私の失敗談ばかりを綴った『トットの欠落帖』もよく読まれているそうです。『続 窓ぎわのトットちゃん』出版の記者会見のときも、中国のメディアの方がいらしていて。なんでも前作は、小学校の先生が子どもたちに読ませたりしたと聞いて驚きました。 なんで中国の方は、そんなに私の本を読んでくださるんでしょうね。もしかしたら自由に生きて呑気な感じがいいのかしら。機会があったら、中国に行って聞いてみたいなと思います。
今回、『続 窓ぎわのトットちゃん』を書きながら、私はトットと呼ばれた子どものころとほとんど変わっていないな、と感じました(笑)。今でもしょっちゅう「お菓子食べたい~」「お腹が空いた」とか、思わず声に出しちゃう。 ユニセフ親善大使として飢えた子どもたちを見てきたし、お菓子食べたいなんて思う私ってダメだな、とちょっぴり反省したりもするんですけどね。戦争状態じゃなくて食べたいものを食べられるって、天国みたいなものだと思います。 ここまで生きてきてつくづく感じるのは、人間にとって一番必要なのは「自由」だということ。自由に考えられ、自由に発言できる。それこそ、私たちになくてはならないものだと思います。そのためには、なにより平和が大事。戦争はぜったいにあってはいけないですね。 私、50歳くらいになったとき、「もう50なんだ」と思ったりしたけれど、それを過ぎて60、70になってもそんなに驚きませんでした。でもこの間、「私、100まで仕事をしようと思うの」と自分で言って、それってそんなに遠くはないと思ったのね。驚きでした! この先、たぶんまた書きたいことが出てくると思います。なんとか100歳までがんばるつもりなので、どうかよろしくお願いします。 (構成=篠藤ゆり)
黒柳徹子