「おじさんの多い定食屋さん」は信用できるワケ。おいしいお店にはある“意外な共通点”とは
ランチタイムにおいしいごはんを心ゆくまで味わいたい――。そんな希望を叶えてくれるお店に定食屋さんがありますが、女性ひとりだったりするとなかなか入りにくいもの。 【画像】大平さんが見つけた美味しい定食屋さん そこで、書籍『そこに定食屋があるかぎり』で魅力的な定食屋を紹介している作家・エッセイストの大平一枝さんに、定食屋巡りの魅力や、お店探しのコツ、初めて行くお店への入り方などを伺いました。
安くておいしくてたっぷりなのは、営業努力のたまもの
――大平さんはなぜ定食屋さんに魅かれるのでしょうか。 大平「おいしいものが食べられて、元気になれるからなんですけど、高い満足感が得られるというのも大きいですね。私は量が少ないとイヤなんです。せっかく料理がおいしくても、ちょっとしか量がないとガッカリしてしまう。おいしいものを満足するまで食べられるのが、定食屋さんのいいところだと思います」 ――おいしくて量も多いって、それだけでいいお店な気がします。 大平「実際、安くておいしくて満足感のある定食を出すお店って、独自の営業努力をしてるんですよね。お魚にしても、昔からの信頼関係がある市場の仲買人さんがいて、いい食材を特別な価格で卸してもらっていたりする。それって、長い歴史があるからできていることなんですけど、若い定食屋さんの中にも、築地でアルバイトをして市場の人たちと関係性を作ってからお店を出したという人もいます」
おいしい味噌汁や山盛りの千切りキャベツも“いい定食”のポイント
――なるほど。ボリューム感のある定食を出すお店は、その時点でいい定食屋さんである可能性が高いんですね。では、ボリューム以外に、“いい定食”としてどんなポイントをチェックすることが多いですか? 大平「まずは味噌汁を見ます。定食屋さんに来たお客さんはたいてい味噌汁から手をつけますけど、その味噌汁がダメだとほかも期待できないじゃないですか。具だくさんのおいしい味噌汁かどうかは大事ですね。あとは、野菜の種類が豊富でたっぷりとれること、キャベツの千切りがしっかり山盛りで、自家製の漬物がついていること。ドレッシングも自家製だとなおいいですね」 ――たしかに、メイン以外も手を抜いていないお店は、いいお店な気がします。 大平「メインだとチキンカツやアジフライといったフライ系が多かったりしますが、古い油で揚げていないかは気にしてますね。私の持論ですけど、『サクッとしている』と評判のお店は、いい油を使っていることが多いです。逆に、『重い』『しっとり』『かたい』と言われるのは、古い油を使っているケースがほとんどだと思います」