「他人の便を触り大腸炎に…」地震で被災した“視覚障害者” 避難先で直面する課題
一方、地震から2か月経ち、生活再建への動きが加速する中で、大口さんが最も必要と感じているのが代筆のサポートです。 「スマートフォンとかを使ったアプリで読み取ることはできる。でも情報を書くことができない。書類の中身も分かって、字の書ける方がいないと、枠が分からないから結局枠の中に字を収めることもできない。代筆代行とか、そういうのがあったら、いま直近で欲しいのはそういう感じ」 ■代読・代筆の支援 石川県では支援員派遣ゼロ 避難生活は誰にとっても非日常ですが、視覚で状況を把握できない人たちにとっては、慣れるまでに時間がかかります。 珠洲市で被災した大口さんは、最初に身を寄せた避難所の簡易トイレで他人の便を触ってしまうことが何度かあり、手を洗うこともできなかったため、大腸炎になってしまったといいます。 点字ブロックの上に荷物が置かれることもあり、大口さんは障害のある人に配慮した簡易防災マニュアルを避難所に設置してほしいと話していました。 また仮設住宅の申し込みやヘルパーの申請といった書類作成に欠かせないのが代読・代筆の支援です。「障害者総合支援法」では、障害者が意思疎通を行うために必要な支援員の派遣事業を市町村が行うよう定められています。しかし、必ず行わなければならない手話通訳支援などとは違い、代読や代筆の支援は任意とされているため、導入している自治体は少なく、県内の市町村ではまだ行われていません。 石川県障害者協会の米島芳文理事長は、自治体ごとの導入を進めるとともに、居住地だけでなく避難先の自治体でもサポートを受けられるよう、県レベルでの広域支援が必要だと話しています。
北陸放送