「他人の便を触り大腸炎に…」地震で被災した“視覚障害者” 避難先で直面する課題
小松市での生活に慣れる努力をする一方、願うのは1日も早くふるさと能登町に戻ることです。 「散歩していても、僕は見えないけど、向こうから声かけてくださったり、知っている人ばかりだし、ここはあそこの凸凹だとか、あっち側から波の音が聞こえるとか、迷っても知ったところが出てきて、ここなら家まで帰れるという安心感もあるし、やっぱりそういう住み慣れたところがいいのはいいですよね」 ■「しゃべる点字ブロック」避難所でも自由に行き来 一方、視覚に障害のある避難者をサポートする取り組みも広がっています。 音声案内 「ここはエレベータホールです。右はロビー方向です。左はエレベータが2つあります」 2次避難者を受け入れている加賀市のホテル。壁に設置されているのは、金沢工業大学の研究チームが開発した「しゃべる点字ブロック」=コード化点字ブロックです。 金沢工業大学・松井くにお教授 「点字ブロックというのは『進め』と『止まれ』の2種類しか情報がない。我々はその2種類以上の情報、もっとたくさんの情報を提供したい。いわゆる点字ブロックに黒いマーキングをつけることで、たくさんの情報を提供できるようにした」 専用のスマートフォンで読み込むと、音声で道案内をしてくれるこの点字ブロック。従来は既存の点字ブロックに印をつけるものでしたが、避難所では紙に印刷したものを壁に貼りつけて活用しています。 音声案内 「左は2メートル進んで、右に曲がるとエレベーター方向です」 松井教授 「視覚障害者の方から連絡いただいて、我々の技術が提供できるのではないかということで、やっぱり困っている人たちの話をよく聞いて、その人たちの要望に沿った形で、いろいろな技術を提供していきたい」 珠洲市から避難している大口史途歩さん。しゃべる点字ブロックが導入されたことで、ホテルの部屋からロビーまで1人で自由に行けるようになりました。 大口さん 「壁際に物がなければ、壁伝いに歩くということも可能。でも避難所というのは臨時で作るものだから、廊下に物がたくさん散乱する。白杖も触れない、壁伝いにも歩けない、初見の場所で方向も分からない。なければもう動けないっていうのが正直なところ」