「他人の便を触り大腸炎に…」地震で被災した“視覚障害者” 避難先で直面する課題
北陸放送
目が見えない・見えづらい視覚障害者にとって、住み慣れた場所以外での避難生活は多くの不安が伴うものとなります。能登半島地震の当事者の体験と、支援の取り組みを取材しました。 【写真を見る】「他人の便を触り大腸炎に…」地震で被災した“視覚障害者” 避難先で直面する課題 ■避難所への階段が地震で崩れる 元鍼灸師の灰谷誠司さん(74)。高校生の時に視力を失い、盲導犬と暮らしています。灰谷さんは元日、能登町小木の自宅で被災しました。 灰谷さん 「今まで体験したことのない強くて長い揺れだったから、まだまだ大きくなるのかなというような不安な気持ちになった。トイレにいたので、出られなくなったら困るので、まず道を開けてとりあえず座ったままじっとしていた」 すぐに家族とともに近くの避難所に向かいましたが、その道のりは想像以上に厳しいものでした。 「高台にある小学校が一番いいんだろうと前から思っていたので、一番利用する階段に行きたかったけど、近道でもあるその階段が崩れていて上れなかった」 ふだんの散歩で使い慣れた道が寸断され、回り道を余儀なくされることに。 避難所では近所の人たちが灰谷さんを気遣い、食事やトイレをサポートしてくれたといいます。 「水道が使えないからトイレも普通に流すというわけにいかなくて、バケツとかペットボトルの水を上から流すんだけど、僕自身は失敗したらかえって人に迷惑かけるからと思って、最初から(周囲に)『すみません、流してください』と言うと、皆さんが気軽に『分かりましたよ』と言ってくれたので、本当にありがたかった。犬を連れているので、毛のこととかにおいのこととか、不快感を与えないように手入れをちゃんとしなければなとか気にしていた」 現在は小松市内に2次避難している灰谷さん。慣れない場所での移動は危険が伴うため、週に1度、外出のサポートをする「同行援護」のヘルパーに来てもらっていますが、できるだけ自力で出かけられるようにと、同じ道を何度も歩いて覚えるようにしています。 「(初めての道は)怖い。迷子になるのが一番怖い」