ドラフト1位・上田希由翔の成長を促した2軍での「3カ月計画」/ロッテの森コラム(3)
緻密に考えられたプランのもとで成長して戻ってきた。ロッテのドラフト1位・上田希由翔(きゅうと)内野手(22)=明大=が、6月14日に約1カ月半ぶりに1軍昇格。16日までの復帰後3試合で、打率・364(11打数4安打)と結果を残している。 【写真】1軍に復帰して結果を残している上田希由翔 東京六大学リーグで歴代4位、明大では最多の74打点を挙げた勝負強さが持ち味。開幕直後に1軍初昇格を果たすと、4月4日のソフトバンク戦でプロ初安打を記録した。だが、プロの壁は立ちはだかった。追い込まれてからの変化球への対応に苦労するなどし、出場機会を徐々に減らすと4月25日に2軍での再調整を言い渡された。 わずか1カ月弱での降格。その裏には首脳陣たちの明確の計画があった。2軍で打撃をしっかりと見直し、3カ月後に再び1軍に呼ぶ構想だ。チーム状況もあって結果的に昇格は早まったが、吉井監督は「3カ月計画でちょっと打ち方を修正しようと。バッティングコーチと(打撃)コーディネーターが話し合ってやってくれた。(1軍に)上がってくるのは早かったですが、成果は出ていると思う」と考えがあったことを明かした。 2軍でやってきたのは打撃の修正だけではない。イースタン・リーグに毎試合出場して、状況に応じた打撃意識や試合の流れの読みも勉強。試合後にサブロー2軍監督らと反省会を行う中で、やみくもに安打を狙って打ちにいくのではなく野球脳も再度鍛えなおした。上田は「技術だけではなくて、そういうところもいろいろと指導してもらった。(1軍で活躍するためには)自分はそういうところも含めてしっかりしないといけないなと思った」と考えを見直した。 取り組みの成果を発揮した象徴的なプレーがあった。交流戦最終戦に7―2で勝利した16日の中日戦。0―1の二回1死一、三塁で打席が回ってきたシーンだ。「自分の前の打席でエンドラインのサインが出た時に、(前の打者の)高部さんだったらヒットを打つだろうなという感じがあって、一、三塁で自分かと想定していた。ファームでも犠牲フライを打ったりしていて、ヒットが打てたら最高だなと思っていた」。最低でも犠飛の気持ちを持って臨み、明大の先輩・柳から中越えの適時二塁打。試合の流れを意識して、チームに勢いをもたらした。 「少しでもチームに貢献できればいい。もっともっと全力プレーで頑張っていきたい」と上田。まだまだ守備でミスをするなどで課題もあるが、下積みを経て頭角を現してきている。(森祥太郎)