保育所でも職場でも子どもにも「迷惑をかけている気持ちだった」MISIAの母・小児科医の伊藤瑞子「アメリカ帰りの上司が変えた職場環境」
多くの看護師さんがそこに子どもを預けて働いていました。準夜勤(夕方~深夜までの勤務)をする看護師さんは、夕方に子どもを保育所に預け、夜中に勤務が終わってから子どもを起こさずに隣で一緒に仮眠もできました。朝になって、子どもと一緒に家に帰ります。そんなこともできました。 夫が当直等で不在で、私も夜間に呼び出しがあれば子どもを預けるのですが、しばらくして患者さんの状態が落ち着いたら保育所にいる子どもの隣で一緒に仮眠し、そのあとまた病棟に様子を見に行って、これで大丈夫だとなれば子どもと家に帰るという生活を送っていました。今考えると大変ですが、若いときで体力もありましたから、患者さんに対して時間外の対応ができる環境がありがたかったです。
── 子どもを起こさず、隣で一緒に仮眠がとれるとはすごいです。 伊藤さん:場所も広かったですしね。それに、通勤時間もほとんどゼロになると、夫が育児に参加できるようになったのも大きかったです。夫も、ちょっとした時間に家に帰って子どもたちと一緒に遊んだり、お迎えに行ったりすることができましたし、私が当直(休日や夜勤)の時は、家で子どもを見てくれていました。当直室に夫が子どもを抱っこして授乳に連れてくることもありましたね。
あの時代でも、時間的な無駄がなければ、男性が育児に参加できるんだと思いました。今でも、女性医師の当直免除のために、そのぶん男性医師が疲弊しているという話をよく聞きますが、社会的にシステムを作ってなんとか解消してほしいですね。
■アメリカ帰りの上司のおかげで定時帰宅が実現 ── 今より女性の医師は少なかったと思いますが、職場の環境はいかがでしたか。 伊藤さん:上司にアメリカで新生児と小児科の2つの専門医を取得して帰ってこられた優秀な男性の先生がいて、勤務環境にも恵まれました。決して次の日に仕事を残していいというわけではなく、自分がすべきその日の仕事はその日に終わらせて、当直医にしっかり引き継いで定時に帰るということです。当時の日本ではだいぶ先進的だったと思います。
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