「日本では出会えない」大会4勝目の義足プロゴルファー・吉田隼人が思う『日本障害者OP』の意義
障害者ゴルファーの日本一決定戦となる「日本障害者オープンゴルフ選手権」が11月10~12日(競技は11~12日の2日間)に、麻生飯塚ゴルフ倶楽部(福岡県)で開催された。同大会は2021年からWR4GD世界障害者ゴルフランキング対象となっており、WR4GDパス(世界ランキングパス)を所有しているプレーヤーは同ランキングに反映される。 【動画】義足プロゴルファー・吉田隼人のアイアンショット 同大会は障害別に上肢障害の部、下肢障害の部、片マヒ障害の部、重複障害の部、軽度障害の部、車いすの部、知的障害の部など10部門がある。その中でも、公式ハンデ15以下の上級者が集まるグランプリ部門で、右足が義足のプロゴルファー・吉田隼人がトータル6オーバーで大会4勝目を飾った。 2016年から本大会に出場している吉田は、この大会を通じて“つながり”を強く感じている。「日本ではなかなか障害者同士が出会う機会が少ない。同じ障害がある人が周りにいないことも多いんです」語り、障害者同士が交流できる場が限られている現状を指摘する。 「この大会に出ると、同じ障害の人や同じ悩みを持っている人と話し合える。日々の生活の工夫や努力をみんなが認め合い、『こうしたほうがいいよ』『頑張っているね』と励まし合えるんです」。吉田にとって、この大会は同じ経験を共有する仲間が集まるコミュニティのような存在だ。 だからこそ、より多くの障害者ゴルファーが参加してほしいという思いがある。「本当に素晴らしい集まり。もっと多くの人に参加してもらいたい。このゴルフの大会に出る人たちは、前向きに(自分の状況を)全部受け入れられている。みんなでゴルフに向かい合って、“ああだこうだ”言いながら楽しめています」と、大会の魅力を力強く語った。 吉田は競技者として活躍するだけでなく、障害者ゴルファーへのレッスン活動にも取り組んでいる。「障害があってもゴルフはできますし、楽しい。これからもたくさんの方に伝えていきたいです」と話した。本大会は、“ゴルフは多くの人達をつなげるスポーツ”だということを改めて感じさせるものだった。(文・高木彩音)