「神戸マラソンの顔」? 毎年話題の「プリキュアおじさん」、コスプレで走る理由を聞いた
今年も『神戸マラソン』が11月17日に開催される。2024年はフルマラソンの定員2万人に対し、4万人を超えるランナーからの応募があり、抽選が実施された。その抽選で涙を呑んだひとりの有名ランナーがいる。爆速コスプレランナーとして知られる「マラソンサニー」さんだ。 【写真】『ひろがるスカイ!プリキュア』の「キュアウイング」で走る…! 同大会は、神戸市役所前をスタートし、明石海峡大橋を超えた垂水区西舞子を折り返し、ポートアイランドをフィニッシュとする、アップダウンが比較的少ないコースで人気の市民参加型マラソン大会。出場しなくても沿道でランナーを応援したり、地元神戸の放送局「サンテレビ」での生中継を楽しみにしている神戸市民も多い。 ■ プリキュアが颯爽と登場! 今では毎年の楽しみにする人も そんな大会で、「マラソンサニーさんを、須磨で確認しました」「今年もプリキュア見れました!サニーさん早すぎる」「あぁ、今年もプリキュアおじさんを検索せずには居られない」と、毎年恒例『プリキュア』シリーズの仮装ランナーとして、SNSを賑わす「マラソンサニー」さん。「今日のプリキュアは朝日放送とサンテレビで放送?(笑)」と投稿している人もおり、『プリキュア』シリーズのファンたちからも注目される存在だ。 さらにコスプレの目立ち具合だけでなく、2019年には海外招待選手を追う姿が生中継に映り込み、「キュアコスモに追われる女子招待選手とか面白すぎるでしょ・・・! しかもこれで圧倒的サブ3とか」とSNSでも話題になるほど、とにかく速いのだ。 「自分も人も楽しませて結果も出すってめっちゃかっこいいな」「マラソンサニーさんみたいに、終始笑顔で終始ファンサしながら完走出来るようなりたい」「コスプレランナーの端くれとしては、少しでもサニーさんに近付けるように頑張りたい」などとの投稿もあり、3時間を切る快走で大会を盛り上げるマラソンサニーさんを憧れの存在とする人たちもいる。 そんな、マラソンサニーさんが、6月にXに投稿したツイートがこちら。 「【悲報】残念ながら今年の神戸マラソンプリキュアは居ません!!」(午前10:36 · 2024年6月27日投稿) 残念ながら、2024年大会には抽選で落選してしまい、出場が叶わなかったというマラソンサニーさん。この報告に「プリキュアのいない神戸マラソンなんて・・・。」「毎年の楽しみなのにショックすぎる・・・」「一番近くの沿道からサニーさんを応援できることがわたしのボランティアの楽しみの1つでした」などと、今年は神戸マラソン名物のサニーさんの走りを見られないと、多くの悲しみの声が集まった。 開催の近づく11月、マラソンサニーさんのもとに神戸マラソンについて、多くの問い合わせがあるそうで、再びXにこんな投稿もされている。 「11月になったこともあり 神戸マラソンに出るのか聞かれる季節になった(何故かみんな出る方向で聞いてくるw)」(午後8:02 · 2024年11月2日投稿) ■ なぜ仮装で走り続けるのか? 聞いてみた そんな悲しみに暮れる「神戸マラソンのプリキュアおじさん」ファンのみなさんのためにも! と編集部はマラソンサニーさんとコンタクトを取り、お話を聞いた。 ──今回「神戸マラソン」に出場されない理由は、エントリーしていたけど、抽選に落ちたということでしょうか? 今年は落選で間違いないです。抽選結果は運次第なので・・・。 ──今回大変残念ですが、周囲から出場する前提で話をされる、という旨ツイートされていましたが、サニーさんを「神戸マラソンの顔」とおっしゃる方もいます。神戸マラソンへの想いをお聞かせください。 初めてのマラソンは高校の卒業の記念に友だちと出場した「丹波篠山ABCマラソン」が最初で、「神戸マラソン」は第1回目からの参加で10回出場させていただいています。 神戸は自分が生まれ育った地なので、お世話になった方々に元気にしている姿を見せるために出場しているのもありました。仮装を始めてからは都市を封鎖して走らせてもらっているので、多くの人に迷惑を掛けていることもあり、興味のない方にも楽しんでもらえるように心掛けています。 ──かなりハイペースで走っていらっしゃますが、沿道からの声援は届いていますか? 「神戸マラソン」は毎回出場させて貰ってるので声援が凄いのが印象的ですね。知り合いはもちろんのこと、仮装で知ってから応援してくれている人、知ってるキャラクターだから応援してくれる子どもたちなど、毎回楽しみにしてくれている人たちがいるのがうれしいです。普通の人からしたらハイペースかも知れませんが、無理のないペースで走っているので声援や声がけもある程度は聞こえていますよ。 ──仮装してマラソンに出場されるきっかけはありましたか? 仮装を始めたきっかけは2011年の東日本大震災です。当時、東北の方に良く旅に出ていてマラソン大会にも参加させて頂いていたのですが、走ったコースが津波で流される映像を目の当たりにし、翌年その大会が再開されるとあって、被災地のみんなが笑顔になれるように仮装を始めました。自身も被害は無かったとはいえ、子どもの頃に阪神大震災を経験していたので、暗い気持ちを晴らせる様な明るい話題を提供したかったのがキッカケです。 ──サニーさんのやさしさが、「コスプレで走る」ということにつながっていたのですね。マラソンで着用されている「プリキュア」や「うま娘」などのコスチュームは自作されているとのことですが、本業は何をされているのでしょうか? 仕事は製造業ですが物を作ると言うより検査がメインの職種です。でも物を作るのが好きで、兵庫工業高校で習ったことや、ネットで仕入れた知識で遊んでいます。コスチュームは年間2~3着は作っていると思いますが、それぞれに制作や走る時の苦労があって、良い思い出ばかりです。 ──コスプレだけでなく、その「速さ」も毎年話題になりますが、マラソンのために日々どのようなトレーニングをされているのでしょうか? 一線を退いてからは、そこまで力を入れて練習はしていないです。ただ、フルマラソンを走るのである程度の距離は踏んでいないとキツイので15km程度の通勤ランで距離を稼いでいますね。スピード練習に関しては短い距離の大会で追い込んでいます。 ──この先のマラソン大会への出場予定があれば教えてください。 今年は運良く東京マラソンに当選したので、来年の東京マラソンに出場します! ◇ 大会ホームページによると、「神戸マラソン」の大会テーマは「『感謝と友情』 被災から復興、そして現在にいたるまで、手を差し伸べていただいた国内外の人々や地域へ感謝の気持ちを現したい」。過去このような服装での出場に賛否もあったようだが、こうして改めてマラソンサニーさんのお話を聞くと、大会趣旨にもぴったりで、「神戸マラソンの顔」にふさわしいランナーだと感じた。 先述のとおり、次のプリキュア登場は2025年3月の「東京マラソン」。神戸マラソンの名物ランナーが、東京の地を沸かせる姿が今から楽しみだ。そして、2025年の「神戸マラソン」にも返ってきてくれることを、切に願う。