『カメ止め』再来の呼び声高い『侍タイムスリッパー』の魅力に迫る! 安田淳一監督&ヒロイン・沙倉ゆうのを直撃
■沙倉ゆうの「時代劇愛にあふれた映画作りの作品」 監督がこだわった笑いと心情描写と人情味
――老若男女がクスっと笑えるようなコメディー要素、主人公・新左衛門の侍としての矜持や葛藤も印象深いですが、演出で監督がこだわった部分は? 安田:コメディーの部分でこだわったのは、一部の人だけでなく、ご年配の方からお子さんまで笑える、わかりやすい笑いをちゃんと作ろうということ。それによって、新左衛門に親近感を持ってもらい、新左衛門がさまざまな葛藤を抱えて命を懸けて戦う様子に、お客さんが応援したい気持ちになってついてきてくださると思ったので。序盤のコメディー要素の部分はベタだからこそ絶対に外したらあかん!とこだわって撮りました。新左衛門の侍としての葛藤を描くにあたっては、キャラクターの心理がどう変化しているかをお客さんに理解していただいて共感してもらって物語についてきてもらおうと思っているので、キャラクターの感情が変わる瞬間や何かをひらめく瞬間を絶対に捉えるということにこだわりました。 ――新左衛門がお世話になる心優しい住職夫婦の人情味も味わい深いものでした。 安田:僕は京都ののんびりした地方都市で育っているので、住職夫婦のような優しい人はわりと周りにいるんです。だから人と人のつながりの中で、実生活においてはそんなに悪い人の方はいないんじゃないかなと思っているんです。スマホばっかり見ていると、炎上とか、人の足を引っ張るとか…そういうことばかりが目に入ってくるかもしれません。でも実生活では本当は結構優しい人も多いと思うし、そこに目を向けてほしいと思いますね。僕が子どもの時に見ていた時代劇の中では、もちろん勧善懲悪という部分もあったけれども、市井の人々が困った人に優しく接してくれて、一銭の得にもならないことに一生懸命になって助け合っている姿が繰り返し描かれていました。そうした人情味を、この映画の中できちんと描きたかったという思いはあります。 ――そんな魅力満載の本作を、これからご覧になる方にメッセージをお願いします。 安田:この映画を観て、みんなで笑ったり、最後に拍手したり…っていう劇場ごと昭和にタイムスリップするような映画体験を味わえると思います。ぜひ劇場にお越しください。 沙倉:侍の映画ではあるんですけれども、時代劇愛にあふれた映画作りの作品でもあります。皆さんに楽しい映画を届けたいと頑張った作品なので楽しんでいただけたらうれしいです。 (取材・文/齊藤恵) 映画『侍タイムスリッパー』は公開中。