不安になると胃が痛くなるの気のせいではない!? 「腸と脳」の関係
遺伝子と脳腸相関
スパロウ氏によると、脳腸相関の健康状態や強さには遺伝子も関係している。 「人間の遺伝子の中には、神経伝達物質の産生、腸壁の完全性、炎症、免疫反応に影響を与えるものがあります。そのうちの1つであるMTHFR遺伝子は、葉酸を活性化し、ホモシステインの値を上昇させて免疫反応を阻害する遺伝子ですが、女性の44%には、このMTHFR遺伝子の変異が見られると言われています。MTHFR遺伝子の変異は、私たちの気分や脳腸相関の健康状態などに深刻な影響を与えることがあります」 遺伝子に加え、幼少期のトラウマや病気も脳腸相関の強さに影響を及ぼす。
脳腸相関と不安
スパロウ氏によると、脳腸相関は次の理由から不安の原因となりうるそう。 腸内細菌は、セロトニン(幸福ホルモン)、GABAの略称で知られるγーアミノ酪酸(抑制/鎮静ホルモン)、ドーパミン(人をやる気にさせるホルモン)などの神経伝達物質の産生と、その量に影響を与える。これらの神経伝達物質は、どれも気分の調節に不可欠。腸内細菌叢の健康状態とバランスが崩れると、こうした神経伝達物質(とりわけGABA)の量に悪影響が出て、不安などの気分障害を引き起こす。 腸壁の健康状態は免疫系に影響を与えるため、腸壁が弱まると免疫反応が強く出る。免疫反応は不安などの気分障害に関係しており、脳内の炎症を引き起こす。 視床下部ー下垂体ー副腎(HPA)軸はストレス反応を調節し、神経系を安定させる。でも、腸透過性が高まったり腸内細菌叢のディスバイオシスが生じたりすると、そのHPA軸がストレスを感じてしまい、その結果、交感神経系(闘争・逃走反応)が活発化して不安が生じる。
脳腸相関に悪影響を与えるものは?
・ストレスレベルとコルチゾール値が慢性的に高い状態 ・抗生物質 ・トラウマ ・深い悲しみ ・栄養不足(マグネシウム、亜鉛、ビタミンB群、ビタミンD) ・頻繁な飲酒 ・運動不足(歩くだけでも全然違う!) ・遺伝子 ・多様な微生物に生後早い段階でさらされること