NTT・KDDI・ソフトバンク・楽天の通信各社が「災害時の連携強化」を発表、船上基地局や資産の共同利用
NTTグループ各社、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは災害時に携帯電話基地局など通信設備が被害を受けた場合の早期復旧に向けた協力体制を結んだ。 【この記事に関する別の画像を見る】 ■ 各社で設備などを共有し、迅速な復旧につなげる 給油や人員の活動拠点などを事業者感で共同利用することで効率的な復旧活動を行うほか、船上基地局や物資輸送での船舶の共同利用、移動通信事業者と固定通信事業者間で情報共有を強化し、通信路の支障箇所の特定を迅速化する。 今回の体制により、必要があればNTTやKDDIが保有する船舶を利用してソフトバンクや楽天モバイルも船上基地局の運用などが可能になる。また、復旧要員が前線の拠点に留まることで、移動にかかる時間を削減できる。携帯電話の基地局は光ファイバー(有線)でさらに先の設備とつながっており、光回線の復旧は携帯電話サービスの復旧に必要不可欠となる。今後、遠隔で故障箇所を特定することも検討する。 NTTでは、能登半島の中継伝送路の3ルート化、移動通信事業者各社との連携窓口の整理、被災地支援の強化などに取り組んできた。KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルでも能登半島での教訓を踏まえて、設備増強などを行っている。個社での対策に加えて今後、事業者間での訓練の実施などを含めて事業者間連携を進める。なお、NTT側はNTT(持株)、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズが参画する。 ■ 能登半島での教訓を活かす 能登半島地震での教訓を踏まえた取り組み。能登半島では、通信設備を収容する建物や通信ケーブルを通す「管路」が道路ごと水没するなどの被害があった。また、道路が少ない地形であることや地震による損壊が、復旧作業のうえで大きな障害になった。 このとき、KDDIとソフトバンクが共同で利用できる給油所を設置したり、NTTとKDDIで海底ケーブル敷設船を船上基地局として利用したりするなどの協力体制が敷かれた。今回の体制はこうした取り組みを強化するもので、参画する各社の設備などを各社で融通することで迅速な通信の復旧を目指す。 携帯各社では災害時の復旧協力で自治体や自衛隊とも連携しており、NTT 技術企画部門 災害対策室 森田公剛室長は、自衛隊とは今後も訓練を積み重ねて有事には迅速に動ける体制を整えたいとした。今回の取り組みにおける事業者間の訓練は2025年にも開催することを検討している。
ケータイ Watch,北川 研斗