京都でバブル期の記憶が蘇る!?「三都物語」や「オルゴールの車内チャイム音」…鉄道開業150周年が開幕
鉄道ファンやファミリー層だけなく、旅好きや昭和・平成レトロファンなど、幅広い層が楽しめる企画展『神戸~大阪鉄道開業150周年記念展 関西鉄道時間旅行 -近場旅の魅力再発見』が「京都鉄道博物館」(京都府京都市)で開催中だ。 【写真】バブル期の鉄道系CMといえば…関西なら「三都物語」 ■ 節目の今年、明治期にタイムスリップ!? 関西では、明治7年(1874年)に神戸~大阪間で鉄道が初開業し、今年が150周年記念の節目の年。同展は、明治、大正、昭和初期、戦後、高度経済成長期、バブル期、平成と時代の流れとともに変わりゆく関西の鉄道と旅行にフォーカスし、約580点もの貴重な資料から、まるでタイムマシンで時間旅行しているような内容になっている。 会場入り口は、日本で最初の鉄道トンネル「石屋川トンネル」(明治4年/神戸~大阪間)の当時の写真を実際にトンネル風に再現しており、川の音も流れていて芸が細かい。そのトンネルをくぐり抜けた先には、初代神戸駅と初代大阪駅の特大写真パネルが出迎えてくれ、明治期にタイムスリップした感覚になる。 関東に比べ関西は、地理的に天井川が多い事情があり、同展を担当した島崇学芸員は、「トンネルを掘ったり、鉄橋を掛けたりするのが関西の鉄道の特徴です」と説明する。 さらに、初公開作品が2点あるのも見逃せない。1点目は『2代目神戸駅の錦絵』で、初代の写真と2代目の絵で神戸駅を見比べることもできる。 もう1点は、昭和8年(1933年)頃に撮影された『膳末次郎氏外遊見送風景』の映像資料だ。大阪駅から神戸駅までに至る鉄道と神戸港から日本郵船に乗船する姿が映っており、「当時の旅行は、まだまだお金持ちしかできないものでした。著名人ではない、当時の一般人であるお金持ちの旅行風景の映像は、大変貴重です」と島さん。戦後、みどりの窓口ができ、徐々に一般庶民にもレジャーとしての旅行が鉄道普及とともに浸透していく。 ■ 思わず「懐かしい!」と呟く年配の方も ほかにも、特に40代後半以上のバブル期や高度経済成長期をリアルに体験した世代にとっては、思わず歓声をあげたくなる展示品も多い。取材時にも年配のメディア関係者が昭和45年(1970年)の大阪万博フィーバー頃の資料や会場内に流れるオルゴールの車内チャイム音に「あぁ懐かしい」と、目を細めて呟いている姿を見かけ、心があたたかくなった。 若い女性の一人旅やグループ旅が増えたのも70年代頃で、雑誌『anan(アンアン)』と『non-no(ノンノ)』のファンションやメイク、旅行特集の影響を受けた「アンノン族」がブームに。 もう一人の同展担当者である遠山由希子学芸員は、「女性が流行りのカワイイ服を着て、国鉄の旅行キャンペーン『ディスカバージャパン』などで紹介されたキレイな写真と同じ風景のところへ旅行するのが当時トレンドでした」と説明。まるで、インスタ映え文化から女子旅が人気の現代と相通じる部分が多く、萌芽の時期といっても過言ではない。 バブル期コーナーには、懐かしいJR西日本のキャンペーン「三都物語」のポスターがミラーボールやショッキングピンクのお立ち台とともに展示されており、当時を良く知らない若い世代でも、今ブームの昭和・平成レトロ感が堪らないので、楽しめるはずだ。 もちろん、鉄っちゃんならば気になるであろう、ヘッドマークも数多く展示されており、鉄板を切り貼りしたトワイライトエキスプレスの初期のヘッドマークなど、見応えがある。同展は、「京都鉄道博物館」本館2階 企画展示室にて7月7日まで。入館料は一般1500円ほか。詳しくは公式サイトにて。 取材・文・写真/いずみゆか