南シナ海の領有権争い…中国の“威圧的行動”に日本も異例の対応 フィリピンと協力で国際秩序は守られるのか
日本も異例の対応、国際連携の行方は…
2024年4月、フィリピン軍は南シナ海で「海上協力活動」として、日本、アメリカ、オーストラリアとの4カ国による初めての共同訓練を行い、隊列を組んだ航行の連携などを確認した。また、日本、アメリカ、フィリピンの3カ国首脳会談が行われ、中国の海洋進出について意見を交わした。 7月には日本とフィリピンが外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を行い、自由で開かれた国際秩序を維持するための連携を強化するとともに、自衛隊とフィリピン軍の共同訓練をしやすくするRAA=円滑化協定に署名した。また8月には、南シナ海で海上自衛隊と二国間の共同訓練を初めて実施し、通信や戦術などの演習を行った。 さらに、在フィリピン日本大使館は同月、中国の領有権の主張について法的な根拠を否定する声明を発表した。日本大使館が他国の主張に反論する形で声明を出すのは異例のことだ。 2024年12月には、日本、アメリカ、フィリピンの高官が、海洋安全保障などを協議する初めての会合を都内で開き、力による一方的な現状変更に反対していくことを改めて確認した。2025年1月にトランプ次期大統領が就任するアメリカは、今後も協力関係を継続する見通しだ。 日本が重要な役割を担う中、南シナ海における国際秩序を関係国が維持できるかが今後の焦点となる。 (バンコク支局長 田中剛)
田中剛