「私たちの募金、どんなふうに役立つの?」トルコ・シリア地震被災地支援募金への疑問を解決
また、避難所に来る方が増えている一方、お子さんや女性にとっては必ずしも安全な場所ではないこともあり、危険を承知で自宅に帰るという選択をする方々も増えています。そんななかで、避難所にしても個人宅にしても、狭い空間に大人数が密集することによる衛生上の問題が発生しはじめています。頭しらみが出はじめている、という現地からのリポートもありました。だからこそ、衛生用品はとても大切ですし、加えて今シリアはとても気温が低く寒いので、暖を取るための毛布も必要です。そのため私たちは、衛生用品や毛布などをパッケージにし、一つ約12.9ドル(約1,800円)で調達をしています。これらの食べ物ではない物資は「ノンフードアイテム」と呼ばれており、食料と並んで現地での需要は日々高まっています。
「被災地の経済を回すことができる」物資よりもお金を送ったほうがいい理由
――現地ではさまざまな物資が必要な状況なのですね。ただ、日本からなにか支援したい場合は、物資よりもお金を送ったほうがいいとお聞きしました。 永井温子: そうですね。「物資を集めて送りたいんです」というお問い合わせを受けることもあるのですが、日本で集めて届けようとしたとき、いくつか問題が起こってしまうんです。輸送に時間がかかったり、輸送費が高くついてしまったり、手続きが複雑だったり、届いた先での仕分けが大変だったりします。 もちろん、物資が必要なら物資を送りたい、という気持ちはすごく大切です。ただ、届くまでのプロセスを考えたとき、お金であればもっとも早く、確実に届けることができるんです。さらには、集まったお金で物資を現地調達することで、被災地の経済を回すことができるという大きなメリットもあります。
――「被災地の経済を回すことができる」のは、とても大きなメリットですね。 永井温子: なるべく私たちは、地域の中で購入できるものは購入していく方針をとっています。また、これはちょうど今調整をしている段階なのですが、いわゆる「Cash for Work(キャッシュフォーワーク)」にも、今後取り組んでいくことになるでしょう。被災で仕事がなくなってしまったという方々と一緒に、避難所の整理整頓や瓦礫撤去などの作業を行うことで、お給料として現金をお渡しできる仕組みです。 現在のような“命をつなぐ支援”という緊急フェーズでは、なにより物資を届けることが大事ですが、その後に“生活を取り戻していくための支援”というフェーズに入った際は、被災者の皆さんが自力で立ち上がるお手伝いをしたいと考えています。このような事情からも、状況にあわせて柔軟に使い方を工夫できる“お金”の寄付は、もっともありがたい形での支援になります。