がん克服復帰戦を劇的適時打で決めた阪神・原口文仁がヒーローインタビューで伝えきれなかったものとは?
試合後、席を立たない阪神ファンから原口コールが鳴り止まなかった。通常、敵地でのヒーローインタビューは一人が暗黙のルールだが、この日は、阪神の広報が動き最高の気配りで、原口、梅野のダブル・ヒーローインタビューが実現した。 5回に勝ち越しの5号ソロを放った梅野は「合流してくれたグチが、凄くいい結果を残してくれた。頼りになるグチが帰ってきてくれたことでチームが活気づくし自分自身も嬉しい」と“同級生ライバル”でもある原口の復帰に祝福の言葉を贈った。 原口は「たくさんの方々に支えられてここまで来れた。たくさんの方々に感謝の気持ちしかないです」と感謝の念を伝えた。だが、バックステージのインタビューでは、「僕はヒーローじゃない。梅野、ランディ、糸井さんがヒーローのところにロッテにも無理を言って出してもらった。ありがたい。ファンの声援に応えられたのが凄く嬉しいです」と語り、そして、もう一度、こんなメッセージを口にした。 「ヒーローインタビューでは伝えきれないことがたくさんあるんです。ほんとに支えてもらった家族、関係者、チームスタッフ、選手の皆さんに感謝の気持ちしかありません。ほんとに嬉しい。1軍の舞台に帰ってきて、1打席目で結果が出たのも、たくさんの方々のおかげです。感謝しかありません」 もう一人だけの野球ではない。多くの人たちに支えられ復帰した原口には、同じくがんと戦っている人たちへ「元気を届ける」という責任と使命が生まれた。 「最初のスタートとしては良かったと思います。これを続けて(その様子を)たくさんのメディアの方に全国へ発信していただいて、前向きに頑張っている、みなさんのために僕は頑張りますので。そういうみなさんに(頑張っている姿を報道で)届けていただきたい」 メディアにも協力を依頼した。 背負うものが多いアスリートは強い。 「今日、1本目が出たんで(次も)自分がやるべきことを準備して、結果を求めてやっていきたい」 原口は下半身がしっかりとできていて、闘病の影響もパワーの衰えも一切感じさせなかった。思い切りのいいフルスイングを見ると、今後、左腕に対するDH起用案が出てきても不思議ではない。ロッテの残り2試合の先発予定は右腕だが、7日の日ハム戦の先発は左腕・加藤が予想されている。 がんを克服した原口復活という最高のドラマを伴って阪神がセ・リーグ不利と言われる交流戦を白星発進した。