CO2排出量取引、国内で「年10万トン以上」の300~400社に参加義務づけへ
経済産業省は2026年度に本格導入する「排出量取引制度」について、国内で年間10万トン以上の二酸化炭素(CO2)を排出する企業の参加を義務づける方針だ。企業活動によるCO2の排出削減が狙いで、鉄鋼や自動車など大手300~400社が対象となる。工場や製品の脱炭素化投資も促し、産業競争力の強化につなげる。 【図解】さっと分かる…カーボンニュートラルのイメージ
経産省が22日の有識者会議で制度の骨子案を示す見通し。25年の通常国会で関連する法律の改正を目指す方針だ。
排出量取引制度はCO2排出量を金額に換算して企業に負担させる「カーボンプライシング」の一つ。年間10万トンは、先行導入している欧州連合(EU)や韓国と同水準となる。鉄鋼などのほか石油や航空も含む大企業300~400社が対象となり、国内の温室効果ガス排出量の6割近くを占める。
同制度では政府が毎年、企業ごとに排出枠を無償で割り当て、排出量が枠を超えれば市場で購入する必要がある。必要な枠を確保しない企業には応分の負担金を求める。枠が余った場合は市場で売却も可能だ。企業は排出実績で第三者機関の認証を受ける。
政府は50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目標に掲げる。28年度には化石燃料を輸入する企業から賦課金を徴収する制度を導入するほか、33年度からは発電事業者に対し、有償でCO2排出枠を割り当て、負担金を求める制度も始める計画だ。