アップル、iPhoneの周辺デバイスが“健康管理”を強化、Apple Watch、AirPodsの進化ポイント
アップルのヘルスケア担当副社長であるスンブル・デサイ博士は「無呼吸検出用のアルゴリズムは、臨床レベルの睡眠時無呼吸検査からの膨大なデータセットを用い、高度な機械学習によって作り出された」とし、「その後、睡眠時無呼吸症の研究のための技術としては前例がない規模の臨床研究で検証された」とコメントしている。睡眠時無呼吸症候群の患者は8割が医師にかかっていないとアップルは説明しており、デサイ博士は「この機能が診断されていない睡眠時無呼吸症を抱えて暮らす何百万人もの人々に大きなインパクトを与えられるようになる」と述べている。
睡眠時無呼吸症候群は高血圧や2型糖尿病に関連し、それらの症状を促進させる原因の1つとされている。にもかかわらず、自覚症状に乏しいため、睡眠時無呼吸を持っている患者の実に8割が医師の診断を受けていないとアップルは説明した。Apple Watchでユーザーが自分の無呼吸について知り、その後の健康維持に役立てられるのなら、5万9800円は決して高くないだろう。Apple Watch Series 10は9月20日に発売される。
■「AirPods Pro 2」には補聴器機能が提供へ iPhone 16やApple Watch Series 10などの発表に比べればあまり目立たないアップデート情報ではあるものの、アップルは既発の完全ワイヤレスイヤホン製品「AirPods Pro 2」に、「臨床グレードの補聴器」機能が追加されることを明らかにした。 この機能はまだFDAの認可が下りていないため、いますぐに補聴器機能が使えるようになるわけではない。とはいえ、この機能が使えるようになれば、装着者は周囲の音がより良い状態で聞こえ、さらに会話の聞き取りも改善しコミュニケーションをとりやすくなるとアップルは述べている。
補聴器機能を使うためには、AirPods Pro 2とiOS 18をインストールしたiPhoneなどを用いて、ユーザーが自分の現在の聴力状態を短時間でテストする必要がある。このテストでは、様々な音量や周波数の音をイヤホンで流し、ユーザーの「聴こえ」の状態を調べる。この判定プログラムについてアップルは「大規模な現実世界のデータ」を用いて開発したと述べ、十分な精度を備えることをアピールした。 この聴力判定の結果はヘルスケアアプリに保存され、AirPods Pro 2を補聴器として使うためのパーソナライズされた聴力プロファイルとして使われる。また、この情報は睡眠時無呼吸のデータと同様に、必要に応じて医師に提供し、診断に役立てることが可能だ。