「よくない辞め方だとは思うけど…」「もっと早く知りたかった」 2万4000円で退職代行サービスを利用する若者たちにも言い分がある
■広がる退職代行の利用「会社側だけの問題ではない」 一方、若者の間で退職代行の利用が広がっている要因について、「会社側だけの問題ではない」と話すのは、若者の心理に詳しい金沢大学・教授(融合研究域融合科学系)金間大介さんです。 金沢大学・融合研究域融合科学系 金間大介教授「今の若者は本音を語りません。その点で上司との間に大きなギャップがあるんです。若者には、上司や会社に自分の意思を表明することに恐怖心があってコミュニケーションをできれば回避したいという気持ちが大きくなっています。」 なぜコミュニケーションを避けたがるのか。金間さんは、「今の若者は行動する前に『心の声』を作動させてしまう」といいます。 金沢大学・融合研究域融合科学系 金間大介教授「SNSが普及する以前は、他者の気持ちは可視化されていませんでしたが、SNSによってコメント欄などで匿名の今まで分からなかった人の心が見えるようになりました。『心の声』が過剰に可視化された社会で生きているんです。それがリアル社会に反映されると、『この人にこんなことを言ったらこう思われるかな」と過剰に反応して、心を閉ざしてしまう。いわゆる被害妄想みたいなものが大きくなっている可能性があります。」 金間さんは、会社や上司ができることとして、先例をつくることをあげました。 金沢大学・融合研究域融合科学系 金間大介教授「若者に、『分からないことがあれば、聞いていいのだ』という先例を見せること。それは言葉で『聞いていいよ』ではなく、行動で示してあげること。そして、若者の行動に対して適宜フィードバックを返すこと。『こんなことを言ったら気落ちするかな』と思うのではなく、むしろ返すことで、若者は『この先輩は返してくれる人だ』と感じるんです。」 この二つを継続して行うことで、若者が上司や先輩に本音を話してくれるようになり、関係性の構築に繋がるといいます。 退職代行サービスの広がりは、世代間で広がるコミュニケーションの違いを図らずも映し出しているようです。
RKB毎日放送