【社説】米国の景気低迷と第5次中東戦争、複合危機に直面する韓国経済
イスラエルに対するイランの「報復攻撃」が迫る中、米国の景気低迷に対する懸念から5日にアジアの証券市場が集団パニックに陥るなど、史上最悪の「ブラックマンデー」が現実化した。米国と中東の「複合危機」に人工知能(AI)バブルに対する懸念までもが重なったことで、世界経済は巨大な破裂音を放っている。政府は動向を綿密に見極めつつ、韓国経済に及ぶ衝撃が最小化されるよう、機敏に対応しなければならない。 この日の韓国取引所では、KOSPI(韓国総合株価指数)が一時、前取引日に比べ10%以上暴落したが、何とか下げ幅を縮め、8.77%の下落で取引を終えた。取引所はKOSPIとコスダック指数が同時に8%以上暴落したことを受け、取引を一時中断させる「サーキットブレーカー」を4年5カ月ぶりに発動した。日経平均株価は実に12.4%も暴落し、台湾、シンガポール、オーストラリアの株式市場も大きく下落した。 この日、主な証券市場が壊滅的な打撃を受けたのは、米国の7月の失業率(4.3%)がここ3年で最も高い水準になるなど、米国発の景気低迷への懸念が高まったからだ。このかん高騰していたAI関連企業の「バブル論」に対する懸念もある。企画財政部はこの日発表した報道資料で、「高い警戒心をもってモニタリングシステムを維持している」とし、「必要なら状況に応じた対応計画に則り、緊密な関係機関の共助で対応する」と述べた。 不安な経済の流れに影響を及ぼす決定的な悪材料は、第5次中東戦争の勃発の可能性だ。イスラエルが先月31日にハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏を殺害したことが事実上確認されたことで、イランは報復を公言している。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は2日、テヘランを訪問したヨルダンのアイマン・サファディ外相に「対応をしないわけにはいかないシオニズム政権(イスラエル)の重大な失敗」だとして報復を公言している。米国のトニー・ブリンケン国務長官も4日、主要7カ国(G7)の外相に、イランとレバノンの武装勢力ヒズボラが早ければ「24~48時間以内に」イスラエルを攻撃する可能性があると伝えたことが報じられている。 昨年10月にはじまったガザ戦争はパレスチナ人を非常に苦しめているが、世界経済に及ぼした悪影響は相対的に大きくはなかった。しかし、中東の「宿敵」であるイランとイスラエルが本格的な対決をはじめれば、中東全体が戦場となる可能性がある。そうなれば、中東と東アジアをつなぐ「原油の輸送路」の安全が大きく脅かされることになる。政府は国内政治の対決に没頭している場合ではない。外から押し寄せる波に備えなければならない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )