熊本の悲しき名物「渋滞」が歌に 「バックできないなら、前向きに」
熊本の不名誉な名物になってしまった交通渋滞。それを歌った曲「大渋滞シティ」が、YouTubeで8月下旬から無料公開されている。聞いてみると、渋滞を怒るわけでも嘆くわけでもなく、むしろ前向きな気持ちになる。なぜ、こんなヘンテコな曲が生まれたのか? 3人組のバンド「バター★コーンEX」に会ってみた。 【写真】「大渋滞シティ」を歌うバター★コーンEXの3人。左からアメージング園田グレイス、バタコ、吉田敬=熊本市南区島町3丁目のトリックスタースタジオ 「ライブで一瞬でも笑ってもらえれば」。これが、バタコ(46)、吉田敬(45)、アメージング園田グレイス(44)のおじさん3人が、2005年のバンド結成以来、目指していることだ。 これまで、調味料のCMソングや上通りアーケード街のイメージソングも作詞作曲。県内の大型商業施設に招かれ、ライブ演奏することも多い。 最大のヒット曲は22年に発表した「266~浜線は混んでる~」。浜線バイパスで知られる国道266号を舞台に、「会いたい 渋滞 会いたい 渋滞」と歌い上げるラブソングだ。 以来、「東バイパスも混んでいる」「白山通りの右折車線も混んでるよ」という連絡がファンから来るようになった。 当初、「別に俺たちは渋滞バンドじゃない」と、2匹目のドジョウを狙うつもりはなかったが、その後、「熊本市は三大都市圏を除く政令指定市で最悪の渋滞」「熊本市中心部とインターチェンジを約10分、空港を約20分の高規格道路で結ぶ『10分・20分構想』」「TSMCの進出で、工場周辺では渋滞が懸念される」といったニュースが盛んに報じられるようになった。
朝日新聞社