ヤクルトが阪神戦で珍しい内野フライでタッチアップ成功も「犠飛」と記録されなかった理由とは?
公認野球規則「記録に関する規定9.08(d)」には、「無死または一死で走者がいる際に、打者が外野に飛球またはライナーを打ち、外野手もしくは外野まで廻り込んだ内野手がこれを捕球後、走者が本塁に達した場合に犠牲フライが記録される」とある。だが、今回の場合は、「内野手が外野まで廻り込んだ」とはみなされなかったというわけだろうか。 試合後、この試合の公式記録員に話を聞いた。 ――珍しいプレーでした。 「いえ、珍しくもありませんよ。何度か似たケースがありますよね」 昨年の4月7日のヤクルト―巨人戦で長野(現広島)のショートへの深いフライで、ゲレーロがタッチアップでホームインしたケース。2年前の7月4日の中日―ヤクルト戦では当時中日のゲレーロ(現巨人)のセカンド後方へのフライを山田哲が体勢を崩してギリギリで捕球、それを見た京田がタッチアップで余裕で生還したケースがある。 ――糸原が捕球した場所は、本来ならば外野手が前進して捕球する場所に見えました。犠飛と認められなかった理由を教えてください。 「もちろん、あのまま外野手がとっていれば犠飛です。でも、内野が外野に回り込む、という野球規則ですから、あの捕球位置は、廻り込むという位置ではありませんでした。内野手が捕球した場合、今回の位置よりも、さらに、もう少し下がった深い位置でキャッチした場合でないと、犠飛とは記録できません」 “外野に廻り込む”という表現は、非常に曖昧だが、そもそも公認野球規則に簡単な図はあるが、どこまでが内野であり、どこまでは外野であるか、という明確な線引きはされていない。一般的には、土部分が内野、芝生部分が外野とされていて、人工芝の球場では内外野の境目にラインも引かれているが、球場によって様々である。 「犠飛」が認められないことで、少しだけ悔しい思いをしたのは、この1打数分だけ打率を下げた山田哲だったのかもしれない。