海保、事故後にマニュアル見直し 「対策の限界」指摘も JAL機炎上
運輸安全委員会の中間報告書では、海上保安庁の機長と副機長が、共に進入許可を得たと誤認していたことが明らかになった。 【写真】滑走路で海上保安庁の航空機と衝突し、炎上する日本航空機 相互確認に不備があったとみられ、事故後、海保は航空機内でのマニュアルを見直したが、対策の限界を指摘する声も上がる。 報告書によると、離陸順位が1番目である旨を「ナンバーワン」と伝えた管制官の指示について、機長は「滑走路への進入許可を受けた」と誤って認識。運輸安全委に対し、「飛行目的が震災支援物資輸送と伝えていたので、離陸の順位を優先してくれたと思った」と説明した。 この管制指示について、機長は副機長に「ナンバーワン」「C5」とだけ復唱した。海保によると、「交信内容を簡素に復唱する」と定められた事故前のマニュアルに沿った対応だったが、ある元民間パイロットは「簡素すぎる」と相互確認の不十分さを指摘。事故を受け、海保は「管制指示を声に出して確認する」とマニュアルを改めた。 海難救助などに向かう海保の航空機は、出発時には目的地が明確でないことも多く、機長は管制だけでなく羽田航空基地からの無線連絡も聞いていた。このことが事故の一因になったとみられ、海保は事故後、離着陸時には管制指示に集中できるよう、機長らは無線連絡を聞かないことにした。 こうした対策について、ある海保OBは「信頼できる2人のパイロットがなぜ複数回間違えたのかは疑問だが、原因が究明されたからといって、是正できるかは別問題。他の手だても打つべきではないか」と語った。