「どうせ家で話せるわけない」知的障害者を10年虐待、副理事長による「無法地帯」 内部通報があったのに市役所は7年間認めず
・元副理事長を慕っている利用者の頭を拳でたたいたり、往復ビンタをしたりしながら叱る行為を何度も行った ・利用者の顔をビンタし、「おまえの顔なんて見たくもねえ」と言った 被害を受けたのは利用者だけではなかった。職員も暴行や暴言、パワーハラスメントを受けていた。ある職員は「能なし」「頭がおかしいから病院に行って診てもらえ」などと罵倒された。書類を投げ付けられた上、顔を殴られた職員もいた。ハラスメントに耐えかねて退職した人もいた。 清陽会の母体は、利用者の親の会だ。このため、以前は親の1人が理事長を務めていたが、親からはこんな証言も出ていた。 「理事長の子どもが『トイレが遅い』と元副理事長に殴られた」 「ある保護者が『会計について(法人に)説明を求めては』と親の会に提案したが、『そんなことをしては(元副理事長に)ぶん殴られる』と言われた」 ▽虐待にとどまらず書類改ざん、「隠蔽体質」との証言も
元副理事長の問題は暴行や暴言にとどまらない。報告書によると、職員からは次のような証言もあった。 「遅くまで残業させていたことがばれないよう、行政の監査があると、元副理事長の指示でタイムカードの改ざんが行われていた」 「できていない書類を監査までに全てできていたかのように作成した」 元副理事長は規定外の給与を受け取っていたほか、妻と娘も職員として在籍していた。 清陽会では、過去10年間で利用者への工賃不払いが合計1億円以上あったことも分かっている。職員や家族からは「事業の収益が何に使われたのか分からない」との声が複数上がっていて、不透明な会計処理が行われていたとみられる。職員からは「組織として隠蔽体質が根強い」という証言もあった。 報告書は、元副理事長以外の職員も利用者に心理的な虐待や不適切な支援をしていたと指摘。ある職員は利用者に怒鳴りつけるような指示を出し、従わないと「副理事長に報告するよ」などと言っていた。