超人気「しまむらコラボ」、過去は低迷 属人性を排して大逆転
一時は減収減益で苦しんだしまむらが絶好調だ。2021年2月期から3期連続の増収増益を果たし、24年2月期も増収増益を見込む。勢いをけん引するのが中核事業の「ファッションセンターしまむら」(以下、しまむら)で、IP(知的財産)とのコラボ商品はしまむら事業における売上高の約1割を占め、同社の利益面でも貢献する。しかしこのコラボ商品、かつてはここまでの存在感がなかったという。 【関連画像】しまむらが販売するIPとのコラボ商品は絶大な人気。ちいかわは2021年9月に初登場し、コラボ回数は10回を超える。写真は24年2月の最新シリーズ ©ナガノ/ちいかわ製作委員会 しまむらに開店待ちの行列ができる日がある。買い物客の目当ては新発売のコラボ商品。開店と同時に、有名キャラクターなどがデザインされた衣類や生活雑貨が飛ぶように売れていく。直近では「ちいかわ」とのコラボ商品が2024年2月に発売。ラインアップは合計25種類に上ったが、僅かな期間で売り切れた。 1年間に発売されるコラボ商品シリーズは20以上で、1シリーズ当たり10種類から20種類の商品を展開。トレーナーやパーカーといった衣類のほか、タオルやクッションなど生活雑貨も店頭に並ぶ。 実はコラボ商品には以前から取り組んでいたが、「現在のように大きな利益を継続して生み出せるようになったのは20年以降」と、しまむら商品7部部長の柳澤一秀氏。それまでは担当者によって売れ行きが変わり、むらがあったという。その問題を解決したのが、ヒットの精度を上げるために始めた取り組みだ。 まず大きく変えたのが、IP選びの方法だ。IPは数多く存在するが、コラボ商品に落とし込んだ際、消費者に刺さるかどうかは千差万別だ。 そこで柳澤氏たち企画チームは、自店のメインターゲットである「20代から40代の主婦とその家族」に合わせてコラボ候補を分類。「ディズニーやサンリオといった幅広い層に認知されているキャラクター」「アニメや漫画のはやりのキャラクター」「VTuber(バーチャルユーチューバー)など、一部の熱狂的なファンを持つクリエーター」の3タイプに絞った。 これらのジャンルから売れる見込みが高いIPを選ぶために導入したのが、ネット上の反応を対象にした分析だ。といっても、今やヒットの発信源になった感のある「SNSの投稿」を対象にするわけではない。しまむら市場調査部が目を付けたのは「検索エンジンに入力されるキーワード」だ。