高野連が新潟独自の球数制限実施に“待った”の賛否
竹中雅彦・事務局長は理事会後に会見を行い、「認めないという決定ではない。猶予を考えていただけないか、ということ」と説明した。だが、ネット上では、この日本高野連の“ちょっと待った”の前時代的な強権発動に対しての批判、批難の意見が殺到した。 「勝敗ありきで判断して欲しくない。選手生命を第一に考えるべき」 「何のための高野連なのか。選手のための高野連であって欲しい」 「まるで興行としては強豪校ばかりが目立つより、それ以外の高校にも勝ち上がるチャンスがある方が良いと言っているようなものだ」「選手の健康より高校野球の面白さを優先させたいのか」 一方で「難しい問題。負担が一人に集中する環境は良くないが、部員不足が深刻な学校があるのなら問題が出てくる」と、日本高野連内で出た慎重論に理解を示す声もないわけではなかった。 元プロ出身の高校野球監督第1号で瀬戸内高監督時代に甲子園出場も果たしている後原富氏は、今回の日本高野連の強権発動について「やっていることがまったく逆」とあきれていた。 「高校野球は人生勉強の場であり、勝つことが最も大事なことではない。勝ち負けよりも、楽しく、健康な状態で野球を続けて、野球を好きになることが大事。球数制限があると部員の集まらないチームが勝てないという考え方は、勝利至上主義であり、教育の観点に欠けている。横浜DeNAの筒香が記者会見や雑誌などで意見を述べているが、私も同感。すべての選手がプロや、大学、社会人に進むわけではないが、肘の大きな手術跡や、肘を痛めて満足に投げられず苦しんでいる選手は痛々しくて見ていられない。新潟高野連の決断を再考させるなど、もっての外。本来は日本高野連が先陣を切ってやるべきことだ。やっと甲子園大会の強行日程にもう1日休養日が追加されたが、スポーツ医科学が発展している米国では、私が監督時代に遠征した段階で、もう球数制限を導入していた。時代錯誤だ」 後原氏が賛同したのは、横浜DeNAの筒香嘉智(27)が日本外国特派員協会で会見を開き「勝利至上主義の問題」「球数制限と練習時間を決める必要性」などの少年野球、高校野球の問題点を指摘した点。 筒香は「球数制限をすれば、野球が面白くなくなる、待球作戦をするなどいろんな声が上がっているが、大事なのは子供たちの将来。大人が中心になるのではなくて子供たちの将来を考えてあげることが一番優先」とも訴えていた。 実際、東海大相模で2015年に甲子園優勝投手となった小笠原慎之介(21)もプロ入りと同時に2度肘にメスを入れた。オリックスに進んだ吉田凌(21)との2枚看板だったにもかかわらず、高校時代のツケが響いた。済美高2年で出場した2013年のセンバツで5試合で772球を投げた楽天の安楽智大(22)も伸び悩んでいる。 昨春のセンバツから導入されたタイブレークに関しては、一部の地域で先行して、その前年の春季地区大会から導入されていた。今回に限り、なぜ新潟高野連の先行導入を許さなかったのか。その点にも疑問は残る。