【効率化でコスト削減はいいけど、今いる人はどうなる?…】「業務の効率化で“不要になった社員”」活用する術はある?「いきなり異動させても…」御社は大丈夫?
たとえば、2回目の記事で紹介したA社のケースでは、業務効率化によって余剰となった50人を、事業部門や子会社の「現場のスタッフ機能の高度化」要員として異動させました。 しかし、付加価値額への明確な効果は出ていないため、株主としては簡単には納得しがたいというのが本音でしょう。 つまり「守りのDX」の効果を享受するならば、「事業の拡大・成長(=攻めのDX)」のプランを同時にもっておかなければならないということです。
プランなき「守りのDX」は、まさに絵に描いた餅になってしまいます。 昔からある業務効率化のプロジェクトなども同様ですが、これはいままで提案・喧伝されてきた「守りのDX」が抱える限界を露呈しているとも言えます。「限界」は、場合によっては「欺瞞」と言い換えてもいいでしょう。 悩みの相談に来られた経営者にこの点を指摘すると「これから新事業のネタを探さないといけないのか……」と逡巡される方も少なくありません。「聞いていたのと話が違うな……」と戸惑う方もいます。
もちろん取り組むべき方向がクリアになり、新しい事業のための議論に移る方も多いです。 とはいえ、新たに「事業の拡大・成長のプラン」をもつことに対し、ハードルの高さを感じる経営者は多いでしょう。 ■「新事業のネタづくり」に躊躇する経営者 確かに新事業のネタを探すのは、簡単ではありません。 「簡単にネタが見つかるのならば、(業務効率化ではなく)こちらから先に取りかかっているよ」と思わずぼやきたくなる経営者も多いことでしょう。
DXを手がけるのに、コンサルティング会社やシステムベンダーなど外部のプロフェッショナルサービスの支援を依頼している企業も多いでしょうが、彼ら彼女らにしても、なかなか「攻めのDX」が提案できないのが現実です。 「守りのDX」の業務効率化と、「攻めのDX」の新事業の創出では、難易度が段違いです。 そもそも新事業の創出の支援を手掛けた経験がまったくないコンサルタントも、(私の見るところでは)多いものです。