語った人生論。なぜ阪神の西岡剛はトライアウトに参加したのか?
井口資仁監督は、今季セカンドに中村奨吾をコンバート、その中村は結果を出した。ショートの定位置はルーキーの藤岡裕大が獲得し、三塁には鈴木大地、来季2年目の大型三塁手、安田尚憲も控え、外野には、ドラフト1位で指名された大阪桐蔭の藤原恭大がいる。チームは世代交代を進める方向で、西岡が、そこに入り込む余地はない。 実は、ロッテ時代に監督だった西村徳文氏が、オリックスの新監督に就任したため、関係者が裏で“奔走”。西村新監督もフロントサイドに掛け合ってくれたが獲得の見送りが決まったという。 この日、トライアウトを視察した某球団の幹部は、「もしあるとすればFAを行使した浅村栄斗が出ていく可能性が高くて二塁が空く西武くらいだろう。ただ今年の松井稼頭央のようにチームOBなら将来の指導者含みであるかもしれないが、西岡にはそういう縁がないからね。西武も生え抜きの若手を育てる方針なので厳しいかもしれないね」という見通しを語っていた。 NPBからのオファーがなかった場合、独立リーグという選択肢も考えているのだろうか? その質問が飛ぶと、「もちろん、もちろん」と、西岡は即答。迷いはなかった。 「野球を続けたいわけですから。たとえば、腕立て伏せ、ひとつとってみても始めて止めるのは簡単だけど、継続することは難しい。自分の意思だけでは(NPBでプレー)できない立場(であることはわかっている)。野球は続けます」 今季は巨人を戦力外になった村田修一が、BCリーグの栃木でプレーをしながらNPBへの移籍期限ギリギリの7月末日までオファーを待った。西岡にも独立リーグでプレーをしながらNPB復帰チャンスを狙う考えがあるという。 2014年の開幕直後の巨人戦で打球を追って福留孝介と激突。救急車が東京ドーム内まで入ってくるほどの重傷を負い、選手生命の危機に直面したが復活した。2016年の7月には走塁の際に左足アキレス腱を断裂。引退が頭をよぎったが、再び不死鳥のようにグラウンドに帰ってきた。彼は、一度として、立ち上がることをあきらめなかった。 そして、今もなお。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)