<サッカーU-21>手倉森ジャパン アジア大会連覇の可能性は?
キーワードは「柔軟性」と「割り切り」である。9月14日に初戦を迎えるアジア大会で連覇を目指すU-21日本代表のことだ。指揮を執る手倉森誠監督が言う。「結果にこだわってやっていきたい。このチームに『柔軟性』と『割り切り』を植えつけ、試合をすればするほどそういうチームにしていきたい。グループリーグで徐々に良くなっていき、決勝の舞台に立ったときに、現時点での完成形を示せるようにしたいと思います」。 アジア大会は4年に1度開催されるオリンピックのアジア版。男子サッカーはオリンピックに倣ってU-23と3人のオーバーエイジを加えた編成で行なわれる。ただし、日本は2年後のオリンピックに向けた強化の場とするため、98年大会からずっとU-21代表を送り込んできた。 昨年までベガルタ仙台を率いていた手倉森監督は、堅守速攻の手堅いチーム作りに定評がある指揮官だ。今年1月のU-22アジア選手権(オマーン)でのチーム立ち上げから、これまで4回の国内合宿で強調してきたのも、やはり「守備の重要性」だった。「技術のしっかりした選手たちに守備意識を植え付けることが大事。守備で安定しなければ、日本の強みである技術も生かせないからね」と指揮官は狙いを明かす。 基本システムは中盤の底にアンカーを配した4-3-3。ウルグアイ、ベネズエラとの対戦を終えたアギーレ監督率いる新生日本代表と同じ形だ。4-3-3をベースに複数のシステムを使い分けるのもA代表と同じ。ただし、真似をしているわけではない。U-22アジア選手権でも4-3-3、4-2-3-1、4-4-2と、システムを使い分けて戦っているからだ。選手たちにも、システム変更にスムーズに対応できるように複数のポジションでプレーすることを、指揮官は求めている。そこに最初のキーワード、「柔軟性」が浮かび上がる。 もうひとつのキーワード、「割り切り」は世界における日本の現在地を意識してのもの。今夏のブラジルW杯で明らかになったのは、日本と世界の列強との差は、まだまだ大きく開いているという事実だった。オリンピックで強豪国と対戦した場合、あるいはオリンピック予選やアジア大会でトーナメントを勝ち進んでいったとき、いつでも思い描いたとおりにゲームを進められるわけではない。それでも勝利を手繰り寄せるには、メンタリティ、戦い方においてある種の割り切りも必要になってくる。手倉森監督が重視しているのは「スタイルへのこだわり」ではなく、「勝負へのこだわり」なのだ。