<サッカーU-21>手倉森ジャパン アジア大会連覇の可能性は?
大会期間中はJリーグが開催されているため、メンバー招集には原則1クラブ1名という制限があり、指揮官が望む選手をすべて呼べたわけではない。とはいえ、4年前の残回大会ではそうした制限すらなく、大学生と所属クラブで出番のない選手たちしか招集できなかった。それと比べれば、今回ははるかに恵まれていて、Jリーグで活躍する選手たちがメンバーリストに名を連ねている。 最も期待が懸かるのが川崎フロンターレのMF大島僚太だ。「止める」「蹴る」の基本技術に加え、状況判断、視野の広さも素晴らしく、軽快にパスをさばいて攻撃を組み立てるプレーメーカー。川崎では2ボランチを組む中村憲剛や、エースの大久保嘉人に支えられ、伸び伸びとプレーしているが、U-21代表での立ち位置は経験豊富な年長者。今大会ではキャプテンとして、チームを引っ張ることが期待される。 センターフォワードを務めるのはジャマイカの血を引くFW鈴木武蔵だ。屈強なDFにも当たり負けしないフィジカルの強さと裏に抜け出すスピードが武器で、アルビレックス新潟ではスーパーサブとして起用されている。 サンフレッチェ広島のMF野津田岳人は、トップ下やサイドハーフをこなす左利きのアタッカー。右サイドからカットインして左足でフィニッシュに持ち込む形に絶対の自信を持ち、U-21日本代表でもその得点力に期待が懸かる。 センターバックのコンビを組むヴィッセル神戸のDF岩波拓也と鹿島アントラーズのDF植田直も所属クラブでレギュラーとしてプレーしている。ともに186センチの長身で対人プレーにも強く、岩波はフィード力を、植田はスピードを備えている。ふたりはU-17日本代表でもコンビを組んだ間柄で、良きパートナーであり良きライバルの関係だ。 彼らはいずれもJ1で出場機会の多い選手たち。他にもJ2ではあるが、DF遠藤航(湘南ベルマーレ)、DF山中亮輔(ジェフ千葉)、MF原川力(愛媛FC)、FW荒野拓馬(コンサドーレ札幌)らが所属クラブでレギュラーや準レギュラーを張っていて、チームとしての総合力はなかなかのものだ。 グループリーグで対戦するのはクウェート、イラク、ネパールの3か国。なかでもイラクはU-22アジア選手権の準々決勝で日本の前に立ちふさがっただけでなく、この世代が2年前に臨んだ12年のU-19アジアユース準々決勝で日本のベスト4進出を阻んだ因縁の相手。この敗戦で日本は翌年のU-20W杯の出場権を逃すことになり、大島や遠藤、山中、岩波らはその試合に出場していた。しかも、イラクは日本より2歳上のチーム編成で臨んでくるため、イラクとの2戦目が日本にとって今大会の行方を占ううえで、また、現在のチーム力を測るうえでカギを握るゲームになるのは間違いない。