裏金問題下の自民、京都市長選“勝っても敗北”の焦燥
「政治とカネ」も焦点に
2月4日は群馬県で前橋市長選挙の投開票もあり、野党系新人が現職を破るという「保守王国」の結果が驚きを呼んだ(本誌2月16日号で既報)。両市長選は裏金事件後最初の大型選挙ということで民意の表れ方が注目され、自民も小渕優子・選挙対策委員長らが1月末に党本部で情勢分析をしたという。結果的には1勝1敗と、危うく2敗を免れた。 選挙戦では門川前市長時代より残された課題を軸に、厳しい財政難、若者・子育て世代の市外への人口流出、観光客の回復増に伴う負の影響(オーバーツーリズム)対策などをめぐっての論戦が繰り広げられた。松井氏は「突き抜ける『世界都市京都』をつくる」をうたい文句に、宿泊税引き上げなど観光の諸課題への対応や、市バスの生活路線の混雑緩和、子どもの医療費無償化などに「府市協調」で取り組むとした。陣営も同氏の通産官僚、民主党政権時代の官房副長官経験のほか、慶應義塾大学教授も務めた経歴も挙げて「市トップにふさわしい」とアピール。京都政財界が推す事実上の「門川後継」候補だが、門川市政への市民の評価が厳しいため、松井氏は「後継ではない」としていた。 「政治とカネ」も焦点となった。1月12日には法政大学前総長の田中優子氏ら著名人5氏が「こんな金権腐敗政治を許していいのか 2・4京都―良識の審判を」と題して呼びかけ文を発表。「京都から『清潔な政治を』の流れを大きく広げましょう」などとする内容に、作家の赤川次郎氏や憲法学者の小林節・慶應義塾大学名誉教授、ルポライターの鎌田慧氏ら約100人が賛同した。 福山氏も前記スローガンの下、市民の暮らしや生業への応援姿勢を強調。門川市政でカットされた保育園の補助金を元に戻したり、大幅値上げされた敬老乗車証の負担引き下げなど「4つの安心」、子ども医療費の18歳までの無償化など「5つの無償化」を挙げて「市の年間予算の1%を充てて実現できる」とするなど、福祉を切り捨てて大型開発やハコモノに偏りがちな保守市政からの転換を訴えた。選挙戦では幅広い市民らによる「つなぐ京都2024」を基盤に活動。「共産系候補」とされることに苦言を呈した。 優位の予想から一転苦境に立たされた村山氏は個人演説会で「私の落ち度で申し訳ありません」と、まずお詫び。「しがらみを断ち切る、本気の行財政改革!」と掲げつつ10項目の「改革」を「4年でやり切る」と再起を期していた。 「完全無所属」とする二之湯氏は政党や既得権益に気を遣うあまり改革できぬまま財政難に直面する京都市を「若い力で変える」と力説。ユーチューブでの連夜の動画配信「にのチャンLIVE!」では、コメントを寄せる視聴者と対話。北陸新幹線延伸計画での地元負担問題では「京都の地下を通るトンネルに1兆円は使わせない」と話した。