裏金問題下の自民、京都市長選“勝っても敗北”の焦燥
16年ぶりの新人同士の争いで混戦のはずが、土壇場で「非共産対共産系」へと逆戻りした2月4日の京都市長選。裏金問題の逆風下で自民側は薄氷の勝利。「市民派」は同日の前橋市長選結果と合わせ実質的「市民の勝利」と沸いた。 2月4日投開票の京都市長選挙は与野党(自民、立憲民主、公明、国民民主)推薦の元参議院議員、松井孝治氏(63歳)が、無所属で「市民派」をうたい、共産党が支援する弁護士の福山和人氏(62歳)らを破り初当選した。松井氏が17万7454票、福山氏が16万1203票と約1万6000票差。他は元京都市議会議員の村山祥栄氏(45歳)が7万2613票、元京都府議会議員の二之湯真士氏(44歳)が5万4430票。投票率は41・67%(前回40・71%)だった。 4期目の門川大作市長が引退を表明し、市長選は当初、日本維新の会や国民民主党の京都府連、地元(京都2区)選出の前原誠司衆議院議員が立ち上げた新党「教育無償化を実現する会」、地域政党の「京都党」が村山氏を推薦。主要の“三極”による混戦が予想され、村山氏が松井氏を上回る予想もあった。ところが村山氏をめぐり政治資金パーティの架空開催疑惑(※)が浮上し、1月中旬に維新などが推薦撤回、自主投票となったことで選挙構図が急転回(本誌1月19日号で既報)。結局は地元で長らく続いた「非共産対共産系」の構図へと逆戻りするという経緯をたどった。 折しも自民は党内派閥の裏金問題を抱えていたため松井陣営は党本部幹部による応援がかえってマイナスになると断り、自民色を消す戦略に転換。立憲も相乗り批判を意識して党幹部の応援は控えた。また、共産支援の福山陣営も政党色を薄めて「市民派」を前面に打ち出した。昨春の京都市議選で躍進するなど、松井陣営が当初最も警戒していた維新が「不戦敗」で全体的に政党の存在が希薄な選挙戦に。最後は松井陣営がなりふり構わぬ組織戦で逃げ切った。 得票率3・5ポイント差に迫った福山氏はスローガンに掲げた「お金で動く政治ではなく市民とつくる政治に」への大きな流れは示せた。