「空飛ぶクルマ」ポスト大阪・関西万博、実用本格化へ!大阪メトロ、スカイドライブと業務提携 出資も
次世代のモビリティとして大阪・関西万博でのデモンストレーション飛行が注目される「空飛ぶクルマ」を開発するベンチャー企業・スカイドライブ(本社・愛知県豊田市)は26日、大阪メトロ(本社・大阪市西区)と業務提携したと発表した。 【画像】大阪メトロ、スカイドライブと業務提携 スカイ社は自治体や企業などと積極的に業務提携を進めている。国内の公共交通機関では、近畿日本鉄道、南海電鉄、JR九州に次いで4社目。 ■「地下、地上、空が一体化」大阪メトロ、交通インフラ確率へ 2018年、大阪市営地下鉄・市バスを民営化し、多角的経営に乗り出した大阪メトロは、人口規模が大きな都市で複数の交通手段を組み合わせ、検索・予約・決済などを一元的に提供するサービス「都市型MaaS(マース / Mobility as a Service)」を推進しており、今回の提携で、地下、地上、空が一体となり、あらゆる移動ニーズに応える交通インフラの確立を目指している。 スカイ社は大阪・関西万博で空飛ぶクルマの運行事業者に選ばれ、大阪メトロは万博会場外での離発着場(ポート)に関する事業を展開する。 ■2028年、商用運航スタートを目指して こうした中、メトロは“ポスト万博”での空飛ぶクルマの商用運航に向けて、大阪港中央突堤や2028年開業予定の中央線森ノ宮新駅ビル屋上(大阪市城東区)に離着陸場を設け、同年にも商用運行をスタートさせるべく、運営面で連携する。 大阪メトロの河井英明社長は「前例がなく、両社ともかなりのエネルギーを投入することになると思う。単なる業務提携ではなく、スカイドライブ社に出資することで事業を加速させたい」と話した。 メトロは10月にも、空飛ぶクルマの専門部署を設け、ビジネスモデルの構築や運用の具体化を急ぐ。 またスカイ社の福沢知浩・最高経営責任者(CEO)は「100年に1度のモビリティ革命というミッションを課されている。100年前は地上では車や鉄道、飛行機という交通手段が登場して生活が変わった。今度は空の世界で大きな変化が現れる。便利で楽しいだけでなく、山間部など道路整備が困難な場所での交通インフラになる。通信手段に例えると、電話回線(有線)からインターネット(無線)になるようなイメージだ」と語った。 空飛ぶクルマは垂直に離着陸できる電動式の機体で、滑走路を必要としないため、都市部を結ぶ交通網として期待されている。スカイドライブは3人乗り機体を開発中で、最大時速は100キロメートル、航続距離は15~40キロに及ぶ。 当初は万博会場・夢洲(ゆめしま)への輸送のため乗客を乗せる商用運航を予定していた。 しかし現状の開発計画に照らすと、安全性、環境適合性の基準を満たす型式(かたしき/けいしき)証明(※)を万博までに取得することは時間的に難しく、事実上の断念となった。 大阪・関西万博では客を乗せず、「デモフライト」を予定している。 福沢CEOは、「万博で商用運航ができないのは残念だが、まず“飛ぶ姿”を多くの方々に見ていただきたい」と話した。 福沢CEOは、2023年に兵庫県と実用化に向けた連携協定を締結した際、「神戸沖や六甲山などの遊覧をきっかけに、景色の良い瀬戸内で離島を結ぶメリットは十分」と、兵庫の魅力を語っていた。 そして、大阪メトロとの業務提携に際し、「陸路だと遠回りになるケースが、空飛ぶクルマならすぐに目的地に到達できる。通天閣やあべのハルカスなどの名所が一望でき、万博閉幕後、IR(カジノを含む統合型リゾート)が開業する予定の夢洲にもすぐに行ける。瀬戸内から大阪湾にかけての安定した気候も手伝って、空飛ぶクルマ・商用運航の“いの一番”の場となる」と抱負を述べた。 スカイ社はすでに国内外から263機の購入予約を受けている。閉幕後の2026年以降に、日本での型式証明の取得と商用運航の開始、その後アメリカでの型式証明取得というスケジュールを予定している。 ※型式(かたしき/けいしき)証明~航空機の型式ごとに行われ、これを取得できなければ量産・販売は行えない。
ラジオ関西