「高校生の時に山中監督に“ラブレター”を手渡した」、映画『ナミビアの砂漠』主演、河合優実さんインタビュー。
だらしなくて、奔放で放っておけない"彼女"。
河合優実さんは高校3年生のときに、山中瑶子監督の『あみこ』を観て“ラブレター”を手渡している。 「ちょうどその頃、ほかの方の自主映画に出ることが決まって、それだけで役者の切符を手に入れた気持ちだったんです。そして2回目に『あみこ』を観に行ったとき、衝動的に山中監督に手紙を渡して『いつか出演したい』とお伝えしました。ミニシアターで自主映画を観るのもほぼ初めてでカルチャーショックでしたし、セリフやシーン、音楽など監督の感性が好きだったんでしょうね」 その山中監督の長編第1作で河合さんが演じるのは、カナという21歳の女性。優しくて世話好きなホンダ(寛一郎)と同棲しているが、人生に面白みを感じられずやり場のない感情を抱いている。やがて自信家で刺激的なハヤシ(金子大地)に乗り換えるのだが、新鮮味が薄れるとともに不協和音が生まれてくる。 【写真ギャラリーを見る】
「脚本を読んで、カナの自由で奔放な人物像を自分の体で表現できることにワクワクしましたし、山中監督の感性が好きだという直感は、やっぱり間違っていなかったと思いました。例えばなんとなく冷蔵庫を開けてハムを食べるようなシーンって、映像としてはあまり見たことがないけど、少なくとも私はしてるからすごくリアルなんじゃないかなと思ったりして(笑)。男女関係より、カナがひとりでいるときの、誰にも見られていない時間に対する共感が大きかったです。異性だったら、早く別れたほうがいいんじゃないかって思いそうだけど、『オレがいないとだめだ』と思わせるようなところがあるんでしょうね、きっと」 常に何かにいらだっているカナは平気で嘘をついたり、恋人を試すような行動を取ったりする。たしかに付き合ったら大変そうなのだが、山中監督がキャストやスタッフなどさまざまな人のエピソードを反映させて作り上げたキャラクターというだけあって、どこか他人事とは思えない親しみも感じさせる。 「カナを自分に重ねる人もいれば、嫌がる人もいるし、ふたりの男性に対する評価も年代や性別によって全然違っていて。ほかにはない種類の映画になったかなと思っています」 話題作に立て続けに出演している今をときめく役者だが、それによって気づいたことがあるそう。 「これ以上忙しくなったら、無理なタイプだとわかりました(笑)。自分のキャパがわかったので、ひとつの作品に丁寧に向き合うやり方を模索中です。大事にしたいのは、その作品を社会に届けたいと胸を張って言えるかどうか。その点、この作品は感想をいただくのが楽しみですね」