大逆転で五輪へ一歩 文武両道の壺井、世界切符―フィギュア
積み重ねてきた努力が大舞台で実った。 フィギュアスケート男子の壺井達也(22)=シスメックス=が、先の全日本選手権で3位に入り来年3月の世界選手権(米ボストン)の切符を手にした。 【写真】NHK杯フィギュアの男子フリーで演技する壺井達也 大逆転でつかんだ出場権だった。大会前に体調を崩した影響もあり、12月20日のショートプログラム(SP)はミスが相次ぎ14位。指導を仰ぐ中野園子コーチからは「このままだと、強化(指定選手)落ちだよ」とハッパを掛けられた。開き直って迎えた翌日のフリー。非公認とはいえ、自己ベストを大きく上回る173.37点を出して一気に順位を上げ、「ここまでできるんだ、という自信になった」と笑顔がはじけた。 シニア3季目で飛躍した。選考を経て出場したグランプリ(GP)シリーズのNHK杯で3位。昨季の9位から躍進して表彰台を射止めた。当初は来年2月にある四大陸選手権の出場を目指していたが、安定した演技を評価され、世界選手権代表の3人目に食い込んだ。 愛知県出身。数々の有力選手を輩出した中京大中京高に通い、神戸大への進学に伴い練習拠点を兵庫に移した。世界女王の坂本花織(シスメックス)と同じ拠点で練習する大学4年生は、ジャンプの動作解析をテーマにした卒業論文の執筆などと並行してスケートに打ち込む。「スケートと大学、食事、睡眠。この四つ以外は何もしていない、みたいな日々を過ごしてきた」と笑う。 今回の全日本では本来の力を出せなかった選手も多く、「まだまだ実力は3位という立場ではない」と自分を客観視する。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪の出場枠獲得が懸かる世界選手権に向け、「僕を(五輪代表に)選んでいただけたら、しっかり結果を残せると示したい」と意欲を示した。