【栗東便り】武豊騎手&ドウデュース、最後まで「人馬一体」松島オーナーも驚く不思議な“絆”
さながら引退式のようだった。 G1・5勝を挙げたドウデュース(牡5、友道)が25日に栗東トレセンを退厩した。ノーザンファーム天栄を経て社台スタリオンステーションへ。出発には武豊騎手(55)やキーファーズ松島正昭代表(66)も駆けつけた。 【写真】ドウデュースを見つめる武豊騎手と松島オーナー それぞれに今の心境を取材する中で、印象に残ったのが松島オーナーの言葉だった。 「人馬一体なのがすごい。同じ日に風邪をひいて、出走取り消しになって…」 指摘したのは先週の金曜だ。ドウデュースは右前肢ハ行で出走取り消し。武豊騎手は体調を崩し、翌朝に土日計5鞍の乗り替わりが決まった。 同じ気持ちは武豊騎手も抱いていた。 「珍しく熱があった。あまり風邪をひかないのに…。『前回いつだろう』ってぐらい。(ドウデュースの取り消しと)同じ金曜日にね」 不思議な“絆”のようにも感じた。 人馬とも大事に至らず、ドウデュースは無事に種牡馬入りを果たす。友道師も「3年後に子供が出てくるので、また応援してください」と呼びかけた。その第2のキャリアについて、主戦騎手は太鼓判を押した。 「(2歳で朝日杯FSを勝っており)生産者にとって仕上がりが早いのはセールスポイントになる。種牡馬として求められるものを全部持っている感じ。ダートもいけそうだし楽しみ」 初年度産駒がクラシックに挑む翌29年には、レジェンドは還暦60歳を迎えている。その事実を伝えると「まじか…」と絶句した後で「1回引退して復帰しようかな。フランキー(デットーリ騎手)みたいに」と笑った。 ドウデュース産駒にまたがる武豊騎手-。その人馬一体たる走りをまた見られると信じている。【太田尚樹】