両陛下が訪問「パラオ」はどんな場所? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
■これまでの戦地ご歴訪
今上天皇は、まだ皇太子であった1981年、「記憶しなければならない日」として、「沖縄戦終結の日(6月20日)、広島への原爆投下(8月6日)、長崎の原爆投下(8月9日)、終戦記念日(8月15日)」の4日を挙げられました。戦没者慰霊の考えを述べられたのです。戦後50年の1995年には長崎、広島、沖縄の順で訪ねられ、献花、礼拝をなさっています。皇太子時代の1975年には皇族として先の大戦以来初めての沖縄訪問をなされ、火炎瓶などを投げつけられる事件にも遭遇しています。 2005年には前述したサイパン島(今はアメリカの自治領)を訪れ、多くの日本人居留民が敗北を悟って身を投げた「バンザイクリフ」も巡られました。1994年にはペリリュー島を凌ぐ戦死者を出した硫黄島も訪問し、 あまたなる命の失せし崖の下海深くして青く澄みたり との歌も残されています。今回のパラオ訪問も皇太子時代から変わらない、先の大戦における慰霊という固い使命感の一貫とみられます。
--------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】