燃費の良いクルマを買ったのに、乗ってみるとそれほど良くもない気がします。どうして違うのでしょうか?
車を選ぶときの条件の一つに、燃費を挙げる人も多いでしょう。しかし、燃費の良さを期待して購入した車でも、実際の燃費は予想以上に良くないと感じた人もいるのではないでしょうか。 そこで本記事では、カタログ燃費と実際の燃費が異なる原因について解説します。また、自動車の燃費性能を検査して公表する理由と、少しでもカタログ燃費に近づけるための運転のコツについても併せて紹介します。 ▼トヨタ「アル・ヴェル」は月々でいくらの支払いが必要? 返済額を試算してみた!
燃費を検査して公表する理由
国土交通省が、自動車の燃費を検査して燃費の良い車をランキングで公表するのは、気候変動対策を推進するためです。2021年度時点で、国全体のCO2排出量の約15%を占めているのが自動車であり、自動車からのCO2排出量を削減するためには、自動車の燃費や性能を改善させる必要があるからです。 そこで、自動車ユーザーの環境への関心を高め、より環境性能の高い車の選択や利用を促進することで、カーボンニュートラルを進めようとしているのです。
カタログ燃費と実燃費が異なる原因
カタログ燃費と実燃費に違いがあるのは、カタログ燃費の試験を行う条件と実際の走行条件が異なるからです。メーカー独自で燃費を計測すると、計測条件にばらつきが出るため信頼性が薄れます。そこで、国が定めた試験方法に従って計測し、さらにその計測結果を国が検証して客観的に性能を測るのです。 国土交通省が定めた性能試験では、特定の温度や湿度など日本の都市における平均的な走行パターンとして選ばれている10.15モードが採用されています。10.15モードでは、カーブや坂道のない平らな道で、エアコンやカーナビなどのオーディオを使用しないといったように、実際に市街地を走行したときの条件が十分に反映されていません。 実際の走行では、車内の温度を調整するためにエアコンを使うこともあれば、渋滞にはまることもあるため、燃費が悪くなります。また、性能試験はプロのドライバーが担当していることも、燃費に違いを生じさせる原因の一つです。 ドライバーは、計測器があることを意識しながら運転しているため、一般ドライバーの普段の走行状態を適切に再現できていないからです。燃費検査で選ばれている10.15モードでは、大きなトルクが必要な運転や急激な加速を行わないため、燃費が良くなります。