「口臭予防のためのセルフケア」を歯科医が解説 正しい歯磨きの方法・歯磨き剤の選び方のポイントとは?
少しずつマスクを外す機会も多くなった近頃、誰かと会話する際に「自分の口臭が気になる」という方も多いのではないでしょうか。今回は、口臭予防のためのセルフケアのポイントや日常生活における注意点などを、医療法人四葉まき歯科の副島先生に解説していただきました。
なぜ口がクサくなる?「生理的口臭」「病的口臭」の原因について
編集部: 「口臭」にはいくつかのタイプがあると聞いたのですが、具体的にどのような種類があるのでしょうか? 副島先生: 口臭には大きく分けて「生理的口臭」「病的口臭」「外的口臭」「心理的口臭」の4つのタイプがありますが、一般的に口臭として多いのは「生理的口臭」と「病的口臭」の2つです。 編集部: では、代表的な口臭の1つ「生理的口臭」について、その特徴や原因を教えてください。 副島先生: 生理的口臭は「日常生活を送るなかで誰にでも生じる口臭」で、食事後の口に残ったタンパク質が分解され、それが歯や舌の表面に沈着してニオイを発生させます。ただ、通常は唾液がそれらをキレイに洗い流してくれるので、唾液が減少する起床時や空腹時、緊張時を除けば、口臭をそれほど強く感じることはありません。 編集部: 次に、もう1つの口臭「病的口臭」の特徴や原因を教えてください。 副島先生: 病的口臭は「口や体の病気が原因で生じる口臭」です。歯科の分野では歯周病や歯肉炎、悪性腫瘍、ドライマウス(口腔乾燥症)が病的原因を発生させます。また、耳鼻科領域の副鼻腔炎にくわえ、糖尿病や肝臓疾患、腎臓疾患など内科的な病気も病的口臭の原因になります。ただ、病的口臭の9割は口由来といわれており、なかでも多いのは「歯周病」です。歯周病はその原因菌が「魚や野菜が腐ったようなニオイ」と表現されるほど強い臭気を発生させます。
イヤな口臭を予防するセルフケアのポイントを歯科医が解説
編集部: 口臭を予防するセルフケアのポイントを教えてください。 副島先生: 口臭を発生させる原因の多くは歯や舌に残ったタンパク質なので、歯磨きや舌磨きでタンパク質を残さないようにすると予防効果は高くなります。とくに、生理的口臭の主な発生源は舌の表面ですので、舌のケアをしっかりおこなうと口臭は一気に軽減されます。したがって、1日1回は専用の舌ブラシで舌の表面の汚れを丁寧に落としていきましょう。 編集部: 口臭予防で歯磨き剤を選ぶ場合、どのような点に注目したらよいでしょうか? 副島先生: 一般的によくいわれるのが、殺菌成分が配合された薬用歯磨き剤です。殺菌成分口臭の原因となる細菌に作用させ、口臭の軽減を図っていきます。他方、近年は「オーラルフローラ」という言葉に代表されるように、口の中の常在菌はできるだけ安定させ、悪い菌だけを選択的に除去したほうが良いという考えもあります。また、口臭のなかには薬用歯磨き剤を使ってもあまり改善しないケースも実は少なくありません。このようななかで、今注目されているのが「環状オリゴ糖」というオリゴ糖の一種を配合した歯磨き剤です。 編集部: その「環状オリゴ糖」は口臭にどのような効果が期待できるのでしょうか? 副島先生: 環状オリゴ糖はバケツのような構造をしていて、口臭の元となるタンパク質や細菌、さらにニオイの臭気を吸着して外に出す作用があります。さらに、その大きさが1ナノメートルと非常に小さく、その細かい粒子が歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットや舌のヒダの狭いすき間に入り込んで汚れを吸着できるのも特徴です。なので、当院ではオリゴ糖を配合した歯磨き粉を取り扱っています。