「まるで立憲民主党のよう」自民党総裁選は政府丸抱え政策ばかり、日本はいま「民間が疲弊し、国が先頭に立つ状況」なのか?
9月23日に立憲民主党代表選挙が行われ、9月27日の自民党総裁選挙と同時期に開催され、それぞれの候補者が政策論議を繰り広げた。自民・立憲民主両党の候補者の声に耳を傾けてみると、こんなところが気になった。 公立学校の充実や給食の無料化、高等教育の奨学金の拡充に言及する候補者は、両党とも多い。教育、保育、医療、介護、福祉といった「公的セクター」で働く人の給料を上げるとも訴えている。そのためには、政府が主導して報酬や公定価格を上げることが必要だ――。
戦略分野の産業への投資を政府が主導して促進するという話も聞こえる。農業従事者を国営で育成すると唱える候補者もいる。 東京一極集中の是正は、両党の候補者ともこぞって提唱しているようにみえる。人が住む場所さえ国の政策で変えようとしているのだろうか。 まるで、「あれもこれも政府が面倒みます」といっているかのようである。 ■第2次安倍政権から強まった傾向 立憲民主党は、元来の政策志向からしてそう主張するのはまだしも、保守政党たる自民党までもが、政府の関与をことさら強調している。いみじくも、立憲民主党の泉健太代表が、「(自民党の)立憲民主党化がここまで進むのか」と述べたように。
民間は疲弊しており、政府が先頭に立ってこの国を動かさないと将来はないかのような勢いである。はたして、本当に民間が自律的に行動する力は残されていないのだろうか。 こうした傾向は、今に始まったことではない。第2次安倍晋三内閣以降の政策でその傾向が次第に強まっていった。 子ども子育て支援の強化、介護職員の処遇改善、幼児教育無償化、給付型奨学金制度の創設と、長期政権となった安倍内閣の間に、次々と実施されていった。
これらは、わが国の保守層が以前から実現を望んでいたものではない。むしろ、安倍内閣の政権維持のために支持層を保守からリベラルに広げる動きの一環だったとも解せる。 政府が民間に代わって丸抱えで関与するということは、まるで冷戦下の「社会主義国」を想起させる。ただでさえ、日本は、皮肉を込めて「世界で最も成功した社会主義国」と揶揄されたりしているだけに、前述のような両党の候補者の訴えは、政府がどんどん手を広げている印象につながる。