渋野日向子(25歳)メンタル回復は“魔法のステッキ”のおかげ? ライバルも心配した苦悩の日々…「あれがピナ姉」渋野らしさ復活の舞台ウラ
笹生優花にもあったメンタルの変化
ゴルフはメンタル、だという。 実力者が集まる世界では、それぞれのステージで技術の差はおそらく拮抗していて、ちょっとしたきっかけが状況を変える。快挙も、引き寄せる。 2021年大会以来、2回目の全米女子オープン制覇を成し遂げた笹生優花にも大会の直前に少なからず変化があった。 メジャーの2週前にニュージャージー州で行われた米女子ツアー(渋野が2戦連続予選落ちした試合)で、笹生もまた決勝ラウンド進出を逃した。2日目に開始6ホールで4バーディを奪いながら、その後6ボギーで予選カットラインから転落。父の正和さんは「心の問題でダメだった」と明かす。その終盤、風の読みに関する意見が相棒キャディと食い違い、フラストレーションを溜めていたという。 現在の女子ゴルフを席巻できる高いショット力を持ちながら、突然スコアを崩す様子はこれが初めてではなかった。前回の優勝から3年のあいだ、何度タイトルを手に入れるチャンスがあったことか……。父は諭した。 「平常心でやったほうがいい。お前に欠けているのはそこだけだ。技術は負けていない。考えたほうがいい。自分だってミスをする。キャディだってミスをする。それでイライラするのは、自分に負けている証拠なんだ」 2週後の大一番で、本人は「忍耐強く」というフレーズを初日からずっと口にした。勝負の日曜日の朝。キャディのディラン・バレケット氏は「きょうはどんなことが起こっても、誇りに思う」と言った。笹生は「その言葉に後押しされて」一丸になり、勝った。 大きな手ごたえをつかんだ翌週、渋野はメジャーの雰囲気とは一線を画す牧歌的な雰囲気の3日間大会で、再び最終日までプレーした。春先よりも目に見えて弾道が高くなり、ドライバーショットのフィニッシュをビシッと決めてすぐに、球の行方を確信してティペグを地面から引き抜く。 劇的な復調傾向にあって、「やっぱりちょっと欲が出てしまう感じ。『もっと行けるのになあ』って」という内心の変化を渋野自身が感じてやまない。 他人から見れば、取るに足らないような言葉やきっかけを、世間をあっと言わせる起爆剤に変えてしまう。追求すべき点を見定め、“ココに伸びしろがある”と信じられた時の推進力は驚くべきものがある。 彼女たちが持ち合わせた、“らしさ”の本質かもしれない。
(「ゴルフボールの転がる先」桂川洋一 = 文)
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