<チ。 ―地球の運動について―>タイトルの由来は? 地動説を題材にした理由 作者・魚豊に聞く
「ある情報があって、それをつなぎ合わせて一つの筋として納得できてしまうこと。それはやばい方向にいったら陰謀論にもなる。ただ、自分がマンガを描いていることと、陰謀論の間の差は限りなく無くて、唯一差があるとすれば、僕たちは『これはフィクションである』と言った上で戦い始めるということ。僕は、フィクションだからこその説得力、与えられる感動って何があるんだろう?ということにすごく興味があるので、まさに『チ。』はそういう話というか。フィクションということで、はしごを外された、だまされた感覚になったけど、マンガを読んで感じたあの気持ちは何?と。その気持ちに折り合いをつけられるのか、つけられないのかも含めて、フィクションの面白さがあると思ったので、こういう題材を選びたかったんです」
◇三つの「チ」 「。」にも重要な意味が
魚豊さんは約1年の構想の末、「チ。」の連載をスタートした。インパクトあるタイトルには、三つの意味が込められているという。
「大地の『チ』、血の『チ』、知性の『チ』。この三つが渾然一体となった作品にしたかった。『。』を付けたのはそもそも句点が好きという理由もあるのですが、それとは別に地球そのものの形のメタファーにもなるし、『。』が文の停止を意味するから。『チ。』のロゴには、句点に軌道が入っているんですけど、『停止していたものが動き出す』というメタファーにもなるので、デザイン的なところも含めて『チ。』というタイトルにしました」
地動説を題材に知性と暴力を描いた「チ。」。豪華スタッフ、キャストが集結したテレビアニメも話題になっている。魚豊さんは自身の作品がアニメ化されることが夢だったといい、「すごくよかったですね。動いているし、色が付いているし、あとしゃべっているし、みたいな。やばかったです」と声を弾ませる。「プロの方にプロの仕事をしていただいているので、僕の中で期待は既に達成されている感じです。音楽と声と絵がどういう感じで合体するのかな、楽しみにしています」と語っていた。