満身創痍のロサンゼルス・ドジャース、ポストシーズンに向けたトレードは「詰まった当たりのシングルヒット」? 同地区ライバルは強力補強
【大物獲得のため有望株を放出するパドレス】 同じ日、対戦相手のパドレスは大変な盛り上がりだった。ドジャースも欲しがっていたフロリダ・マーリンズの左腕クローザー、タナー・スコットを獲得できたからだ。今季はオールスター選出、防御率1.18、18セーブ(6勝5敗)と圧倒的。加えてタンパベイ・レイズで防御率2.49の右腕リリーバー、ジェイソン・アダムも補強した。パドレスのAJ・プレラー編成本部長はアグレッシブな補強を実行することで有名だが、今季もそう。開幕直前にホワイトソックスのエース、ディラン・シースを獲得し、5月は2年連続首位打者のルイス・アラエスを戦列に加えた。こんなことが可能なのは、マイナーリーグの若手有望株を惜しげもなく次々に差し出してしまうからだ。 これでチームも勝っていればすばらしい編成本部長なのだが、彼が就任した2014年以降、パドレスがポストシーズンに進出できたのは2度だけ。ナ・リーグ優勝決定シリーズまで勝ち進めたのは2022年の1度だけだ。 一方で彼が差し出した有望株たちは、2014年の1巡指名トレー・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ/通算163本塁打、272盗塁の遊撃手)、2012年の1巡指名マックス・フリード(アトランタ・ブレーブス/通算69勝31敗、防御率3.04)、エマニュエル・クラセ(クリーブランド・ガーディアンズ/3年連続オールスター、2年連続セーブ王)、ジョシュア・ネーラー(クリーブランド・ガーディアンズ/今季22本塁打、70打点でオールスター選出)など、結構な人数がメジャーで一流選手に成長している。もう少し辛抱強く成長を待てれば、パドレスも違ったチームになったのにと、プレラーのやり方を批判する関係者も少なくない。 パドレス担当のデニス・リン記者は7月30日、今年もポストシーズンを逃せば、プレラー編成本部長は解雇かもしれないと言う。「積極的な補強でヘッドラインを飾り、ここ数年は観客動員もとてもいい。そこはすばらしいと思う。しかしながら就任から10年が経つし、勝てていないことに疑問符が付いている」と指摘する。 もっとも30日の試合はブルペンの差でパドレスが制した。ドジャースは初回に5点を先制したのに、松井裕樹をはじめとする6人のリリーフ陣に抑えられ、追加点を挙げられなかった。一方でパドレスは少しずつ点を奪い返し、9回にドジャースのリリーバー、ブレーク・トライネンから2発で同点、10回は左腕アレックス・ベシアを攻略してサヨナラ勝ち。 ロバーツ監督は悔しそうに「最初の数イニングはよかったが、その後はパドレスが6人の投手をうまく使って、マッチアップで有利になるように起用してきた。(大谷)翔平の時に2度左投手を当てるとかね。私たちは同じような対応ができなかった」とコマ不足を嘆いている。