井上尚弥とのWBSS決勝に向けドネア父が注目発言「先にパンチを当てた方が勝つ。井上は耐久性を問われる」
WBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(26、大橋)はWBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)の決勝で、5階級王者でWBA世界同級スーパー王者のノニト・ドネア(36、フィリピン)と対戦するが、ドネアの実父でボクシングトレーナーのノニト・ドネア・シニア(60)が、その井上戦について注目発言を行った。 ドネア父は19日に千葉の幕張メッセで行われたWBO女子世界スーパーフライ級王座決定戦に出場したケーシー・モートン(35、米国)のトレーナーとして来日。試合は吉田実代(31、EBISU K‘sBOX)に0-3判定で完敗したが、その試合後に息子と権威あるリング誌のパウンド・フォー・パウンドの4位にランクされる”モンスター”井上との対戦についての考えを述べた。 「井上は若くて速い。いい試合になるよ。この試合は、どちらか最初にパンチを当てたほうが勝つだろう。決着は早い。12ラウンドを戦うことにはならないだろう」 井上の力を冷静に分析した鋭い予想だ。 井上は、ここ3試合、2ラウンド以内の秒殺が続いている。昨年5月のジェイミー・マクドネル(英国)とのWBA世界バンタム級戦は、112秒。10月のWBSSの1回戦、ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ)戦は、わずか70秒。そして英国グラスゴーで行われたWBSS準決勝のIBF世界同級王者、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)との試合も2ラウンド1分19秒に左フック、ボディで3度、倒して衝撃を与えた。 一方、ドネアも全盛期は、閃光と呼ばれる左フックでKOを量産。36歳となり、衰えは目立つが、WBSS準決勝では、WBO世界同級王者のゾラニ・テテ(南ア)の代役出場となったWBA5位のステフォン・ヤング(米国)を6回に左フック一発で沈め、伝家の宝刀の健在をアピールした。 井上の左右の一発か、ドネアの左フックか。 勝負は一撃で決まるとドネア父は読むのだ。 ドネアが先に当てる自信はあるのか? そう聞くと、「もちろん自信はある」と、即答した。 「この試合では、井上は、どれだけパンチに耐えられるかの耐久性を問われることになる」 井上は、ここまで18戦のキャリアでダメージブローを浴びたことは、ほぼない。マクドネル戦では感情的になってガードが甘くなり、ストレートを被弾する場面があったが、しっかりと体重の乗ったパンチではなかった。パンチへの耐久性は、強いがゆえの未知の領域ではある。ドネア父が「耐久性が問われる」と挑発した理由もそこにある。 しかし、「実は打たれ弱い」などの話は聞いたことがない。その不安はないが、まともな左フックを浴びると危険ではある。