「最初と最後ぐらいは、いい練習しようぜ」 東京六大学で春秋連覇の早稲田大、連敗の早慶戦から立て直した"初心"の1日
東京六大学野球秋季リーグ戦は、勝ち点(4)と勝率(7割2分7厘)で並んでいた早稲田大学と明治大学による優勝決定戦が12日に行われ、早稲田大が4-0で明治大を下し、2季連続48回目の優勝を果たした。早稲田大は9、10日の早慶戦で1勝すれば優勝が決まったが、連敗。印出太一主将(4年、中京大中京)は、11日に初心に帰るような練習を積めたことが、連覇につながった面もあると振り返った。 【写真】春秋連覇を果たし、マウンド付近で歓喜の輪を作る早稲田大の選手たち
伊藤樹が3安打完封、早慶戦から切り替え
大一番で「投」の主役は、エースの伊藤樹(3年、仙台育英)だった。リーグ通算で118安打を積み上げ、10月のプロ野球ドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスから1位指名を受けた宗山塁(4年、広陵)との注目対決。一回2死走者なしで訪れた1度目、初球は111キロのカーブだった。宗山のバットは動かず、見逃し。2球で追い込み、最後は沈む変化球で二ゴロに仕留めた。 「打席から離れて立ったり、詰めたりという工夫をしていたので、そういった狙いをこちらがなるべく外していこうというところと、強いボールを投げることが大事かなと思っていたので、真っすぐとカーブの緩急をつけながら投げることを大事にしていました」と伊藤樹。持ち前の観察眼がさえ、宗山を3打数無安打に抑え込んだ。三回までは相手走者を一人も許さないパーフェクト投球。四回に、この試合を通じて初めてとなる先頭打者の出塁を許したが、印出が盗塁を阻止して、3人で攻撃を終わらせた。伊藤樹は最後まで投げきり、被安打3、115球で完封した。 早慶戦では9日の1回戦に先発し、相手の4番打者・清原正吾(4年、慶應)にソロ本塁打を浴びるなど、7回5失点。「ここまで6勝を挙げて、いいピッチングが続いた中で、ここでこういうピッチングを出しちゃうんだな……」という悔しさが募った。ただ優勝の可能性が消えたわけではなく、雪辱を果たす機会はまだあったから「その日の夜には『もう1回チャンスがあるから、そこで投げきろう』と切り替えられました」。大一番では、気持ちを入れすぎず、冷静なメンタルを保てたことが好投につながった。